iPhoneのウォレットアプリに表示されるSuicaやクレジットカードの決済履歴は、仕様上、個別に削除することはできません。
この記事では、削除できない決済履歴を非表示にするための代替案や、その理由を詳しく解説します。
また、使用済みの搭乗券やチケットなど、不要になった「パス」をウォレットから完全に削除する具体的な手順も紹介します。
なぜ履歴が消せないのか、プライバシーは安全なのかといった疑問にもお答えします。
この記事を読めば、ウォレットアプリの履歴に関する悩みが全て解決します。
ウォレットの履歴を削除するための具体的な手順と代替案
- Suicaやクレジットカードの決済履歴は削除できない
- SuicaやPASMOのチャージ・利用履歴を非表示にする方法
- クレジットカードの利用履歴をWalletアプリで表示しない設定
- 期限切れの搭乗券やチケットなど古いパスを削除するやり方
- 古いパスを自動で非表示にする設定
Suicaやクレジットカードの決済履歴は削除できない
iPhoneのウォレットアプリに表示されるSuicaやクレジットカードの利用履歴は、残念ながら個別に選んで削除することはできません。
これは、アプリの不具合やあなたの操作ミスではなく、Apple Payのシステム上の仕様です。
ウォレットアプリに表示される決済履歴のデータは、iPhone本体に保存されているわけではありません。
実際には、JR東日本(Suicaの場合)や、各クレジットカード会社のサーバーで厳重に管理されています。
ウォレットアプリは、そのサーバーにある情報を、いわば「窓口」として表示しているに過ぎないのです。
そのため、アプリ側からサーバーのデータを勝手に削除することはできない仕組みになっています。
銀行の通帳の取引明細を、自分で勝手に消せないのと同じようなイメージですね。
ただし、全ての履歴が削除できないわけではありません。
使用済みの搭乗券や期限切れのイベントチケットといった、いわゆる「パス」に分類されるものは、ウォレットアプリから簡単に削除することが可能です。
この記事では、削除できない決済履歴をどうやって非表示にするかという代替案や、削除できるパスの具体的な操作方法について、詳しく解説していきます。
SuicaやPASMOのチャージ・利用履歴を非表示にする方法
SuicaやPASMOの利用履歴をウォレットアプリから完全に削除することはできませんが、アプリ上の表示を整理し、古い履歴を見えなくする「非表示」の方法ならあります。
一番手軽な方法は、新しい決済を重ねて、古い履歴を画面の外に押し出してしまうことです。
ウォレットアプリに表示される履歴の件数には上限があるため、新しい利用履歴が増えれば、古いものから順番に表示されなくなっていきます。
もし、今すぐ表示をリセットしたい、という場合は、一度ウォレットからSuicaやPASMOを削除し、再度追加するという少し強引な方法もあります。
手順は以下の通りです。
- ウォレットアプリを開き、対象のSuicaまたはPASMOを選択します。
- 右上の「…」アイコンをタップし、一番下までスクロールします。
- 「このカードを削除」をタップし、確認画面でもう一度「削除」を選びます。この時、残高はサーバーに保存されるので消えることはありません。
- 次に、ウォレットアプリのトップ画面右上の「+」アイコンをタップします。
- 「以前ご利用のカード」の中から、先ほど削除したカードを選び、画面の指示に従って再設定します。
この操作を行うと、再設定直後はアプリ上に履歴が表示されなくなります。
ただし、カード会社のサーバーにはデータが残っているため、時間が経つと最新の履歴が再び表示される場合があります。
あくまで一時的な対処法として覚えておきましょう。
クレジットカードの利用履歴をWalletアプリで表示しない設定
クレジットカードの利用履歴がウォレットアプリに表示されるのが気になる、という方は、カードごとに通知と履歴の表示をオフに設定することができます。
この設定をすれば、決済をしてもウォレットアプリに履歴が記録されなくなるため、プライバシーが気になる方におすすめです。
ただし、これはあくまでアプリ上の表示を止めるだけで、カード会社の利用明細から履歴が消えるわけではない点に注意してください。
設定方法はとても簡単です。
- iPhoneの「設定」アプリを開きます。
- 下にスクロールし、「ウォレットとApple Pay」という項目をタップします。
- 登録しているカードの一覧が表示されるので、履歴を非表示にしたいクレジットカードを選択します。
- 「利用履歴」というタブをタップします。(カード会社によってはこのタブがなく、次の手順のスイッチのみの場合もあります)
- 「利用履歴を表示」や「通知を許可」といったスイッチがあるので、これをタップしてオフ(白色)に切り替えます。
これで、今後そのクレジットカードをApple Payで利用しても、ウォレットアプリ上に取引履歴が追加されなくなります。
複数のカードを登録している場合は、カードごとにこの設定を行う必要があります。
すでに表示されてしまっている履歴は、この設定をしてもすぐには消えません。
しかし、新しい利用で古い履歴が押し出されていくうちに、徐々に見えなくなっていきますよ。
期限切れの搭乗券やチケットなど古いパスを削除するやり方
Suicaやクレジットカードの決済履歴とは違い、ウォレットに保存されている使用済みの搭乗券や、期限が切れたイベントのチケット、もう使わないお店のポイントカードなどは、いつでも簡単に削除できます。
アプリ内が古いパスでごちゃごちゃしていると、いざ使う時に目的のカードが見つけにくくなりますよね。
定期的に整理して、すっきりさせておきましょう。
削除する手順は以下の通りです。
- ウォレットアプリを開きます。
- 一番下までスクロールすると、「期限切れのパスを表示」という項目があるので、これをタップします。(表示がない場合は、すでに期限切れのパスがない状態です)
- 過去のチケットや搭乗券などが一覧で表示されます。
- 削除したいパスをタップして選択します。
- 右上に表示される「…」(その他)アイコンをタップしてください。
- メニューの中に「パスを削除」という項目があるので、これを選択します。
- 確認のメッセージが表示されるので、再度「削除」をタップすれば完了です。
これで、不要なパスがウォレットアプリから完全に取り除かれます。
複数のパスをまとめて整理したい場合は、一覧画面の右上にある「編集」ボタンから、削除したいパスにチェックを入れて一括で削除することも可能ですよ。
古いパスを自動で非表示にする設定
搭乗券やイベントチケットなど、有効期限がある「パス」は、使うたびにどんどんウォレットアプリ内に溜まっていきます。
一つひとつ手動で削除するのが面倒だと感じる方は、期限が切れたパスを自動的に非表示にしてくれる設定をオンにしておくのがおすすめです。
この設定をしておけば、メインの画面は常に使うカードだけが表示されるすっきりした状態に保たれます。
設定方法はとても簡単ですよ。
- ウォレットアプリを開きます。
- 一番下までスクロールします。
- 「期限切れのパスを非表示」という項目があるので、その右側にあるスイッチをタップしてオン(緑色)にします。
たったこれだけで、有効期限が過ぎたパスは自動的に「期限切れのパス」のリストに移動し、メイン画面には表示されなくなります。
非表示になっただけで、削除されたわけではありません。
後から過去の搭乗記録などを確認したくなった場合は、いつでもメイン画面最下部の「期限切れのパスを表示」をタップすれば、一覧で確認することができます。
手動で削除するのは手間だけど、アプリ内を綺麗に保ちたい、という方にぴったりの機能です。
ぜひ活用してみてください。
ウォレットの履歴削除に関する注意点とよくある質問
- なぜ決済履歴は削除できないの?
- カードを削除して再登録すると履歴は完全に消える?
- ロック画面に履歴の通知を表示させない設定方法
- 他人に支払い履歴を見られる可能性はある?
- iPhoneを売却・譲渡する際に履歴を完全に消去する方法
なぜ決済履歴は削除できないの?
ウォレットアプリのSuicaやクレジットカードの履歴がなぜ削除できないのか、その理由はデータの管理場所にあります。
実は、これらの決済履歴データは、あなたのiPhoneの中ではなく、それぞれのサービスを提供している会社のコンピューター(サーバー)で管理されているからです。
考えてみてください。
Suicaの利用履歴は、いつ、どこの駅で乗り降りしたか、いくらチャージしたかという、JR東日本にとって非常に重要な取引記録です。
クレジットカードの利用履歴も同様に、カード会社があなたとの取引を正確に記録しておくための大切なデータになります。
もし、利用者がアプリから自分の都合でこれらの記録を自由に削除できてしまったら、正しい請求ができなくなったり、不正利用の調査が困難になったりと、大きな問題が起きてしまいますよね。
そのため、これらのデータは各社が責任を持って管理しており、ユーザーが勝手に変更や削除ができない仕組みになっているのです。
iPhoneのウォレットアプリは、それらの会社のサーバーに「今、履歴を見せてください」と問い合わせて、その結果を表示しているに過ぎません。
銀行のアプリから、通帳の入出金記録を消せないのと同じ理由だと考えると、分かりやすいかもしれませんね。
カードを削除して再登録すると履歴は完全に消える?
ウォレットアプリ上の履歴を一時的に見えなくするために、一度カードを削除してから再登録する方法がありますが、これで履歴が「完全に消える」わけではないことを理解しておく必要があります。
この操作で消えるのは、あくまで「ウォレットアプリ上での一時的な表示」だけです。
カードを削除しても、あなたの決済履歴データそのものは、クレジットカード会社やJR東日本(Suica)のサーバーに、過去の記録としてしっかりと保存され続けています。
そのため、カードを再登録すると、サーバーに残っている最新の利用履歴が、再びウォレットアプリに表示されることがよくあります。
また、クレジットカード会社が発行する利用明細書(紙やWeb明細)には、Apple Payでの利用分も含めて、全ての決済記録がこれまで通り記載されます。
ウォレットアプリからカードを削除したからといって、請求が来なくなるわけではないので、その点は勘違いしないように注意しましょう。
つまり、この方法は、あくまで自分のiPhoneの画面上から一時的に履歴を見えなくするための「目隠し」のようなものであり、取引の事実そのものを消去するものではない、ということです。
プライバシーが気になるなどの理由で履歴を非表示にしたい場合には有効ですが、根本的なデータ削除にはならない点を覚えておいてください。
ロック画面に履歴の通知を表示させない設定方法
Apple Payで支払いをした後、iPhoneのロック画面に「〇〇でSuicaを利用しました」や「〇〇円を支払いました」といった通知が表示されるのが気になる、という方もいるでしょう。
特に、周りに人がいる時に見られてしまうのが嫌だ、という場合に、この通知をオフにすることができます。
設定は「ウォレット」アプリではなく、「設定」アプリから行います。
カードの種類によって設定箇所が少し違うので、それぞれ説明しますね。
クレジットカードの場合:
- 「設定」アプリを開き、「ウォレットとApple Pay」をタップします。
- 通知をオフにしたいクレジットカードを選択します。
- 「通知を許可」というスイッチがあるので、これをオフ(白色)にします。
SuicaやPASMOの場合:
- 「設定」アプリを開き、「ウォレットとApple Pay」をタップします。
- 通知をオフにしたいSuicaまたはPASMOを選択します。
- 「トランザクション通知」という項目があるので、これをタップします。
- 「通知を許可」のスイッチをオフ(白色)に切り替えます。
これで、決済をしてもロック画面に通知が表示されなくなり、プライバシーを守ることができます。
もちろん、通知をオフにしても、ウォレットアプリ内の利用履歴には通常通り記録されますので安心してください。
他人に支払い履歴を見られる可能性はある?
ウォレットアプリにたくさんの決済履歴が残っていると、「もしiPhoneを落としたり、誰かに見られたりしたら、自分の行動が全部バレてしまうのでは?」と不安になりますよね。
でも、安心してください。iPhoneのセキュリティは非常に強固なので、あなたがちゃんと対策をしていれば、他人が勝手にウォレットの履歴を見ることはほぼ不可能です。
まず、ウォレットアプリを開くには、iPhoneのロックを解除する必要があります。
Face ID(顔認証)やTouch ID(指紋認証)、またはパスコードを知らない限り、第三者はホーム画面にすらたどり着けません。
これは、Apple Payで支払いをする際にも同じ認証が必要なことからも、その安全性の高さが分かります。
そのため、万が一iPhoneをどこかに置き忘れたり、落としてしまったりしても、拾った人が中身を見て履歴を覗き見る、ということはできません。
ただし、パスコードを「1234」のような簡単なものにしていたり、ロックをかけずに使っていたりすると、話は別です。
また、信頼できない人にパスコードを教えたり、iPhoneを貸したまま放置したりすれば、見られてしまう可能性はあります。
基本的なことですが、推測されにくいパスコードを設定し、iPhoneをきちんとロックしておくこと。
これさえ守っていれば、あなたのウォレットの履歴は安全に保護されていると言って良いでしょう。
iPhoneを売却・譲渡する際に履歴を完全に消去する方法
iPhoneを機種変更して下取りに出したり、家族や友人に譲ったりする際には、個人情報の塊である決済履歴などを、必ず完全に消去しておく必要があります。
これを怠ると、あなたのカード情報が他人に渡ってしまう危険性があり、非常に危険です。
安全にiPhoneを手放すための正しい手順は、Appleも推奨している以下の2ステップです。
ステップ1:Apple Payのカード情報を全て削除する
まず、ウォレットに登録されているクレジットカードやSuicaなどを、一枚ずつ手動で削除していきます。
- 「設定」アプリを開き、「ウォレットとApple Pay」をタップします。
- 登録されているカードを一枚ずつ選択し、画面一番下の「このカードを削除」をタップして削除を実行します。
- 登録している全てのカードで、この操作を繰り返してください。
ステップ2:iPhone本体を初期化(すべてのコンテンツと設定を消去)する
次に、iPhone内の全てのデータと設定を消去し、工場出荷時のまっさらな状態に戻します。
- 「設定」アプリを開き、「一般」→「転送またはiPhoneをリセット」と進みます。
- 「すべてのコンテンツと設定を消去」をタップします。
- 確認画面が表示されるので、パスコードとApple IDのパスワードを入力し、画面の指示に従って消去を実行します。
この2つのステップを確実に行うことで、あなたの決済履歴を含む全ての個人データはiPhoneから完全に消去され、次の人が安心して使える状態になります。
ウォレットの履歴削除まとめ
- iPhoneウォレットのSuicaやクレジットカードの決済履歴は、仕様上、個別に削除できません。
- 履歴を非表示にしたい場合、カードを一度削除して再登録するなどの代替案があります。
- クレジットカードの利用履歴は、設定からウォレットアプリに表示しないようにできます。
- 使用済みの搭乗券や期限切れのチケットなどの古いパスは、手動で簡単に削除可能です。
- 決済履歴が消せない理由は、データがカード会社側のサーバーで管理されているためです。
- iPhoneにパスコードロックをかけていれば、他人に履歴を見られる心配はほとんどありません。
- iPhoneを売却する際は、必ずウォレットのカードを全て削除し、本体を初期化しましょう。