このエラーメッセージは、主にiCloudの「プライベートリレー」機能が原因で表示されます。
あなたのプライバシーを守るための機能が、特定のWi-Fiネットワークと干渉している状態です。
この記事を読めば、エラーが表示される仕組みが分かり、誰でも簡単に試せる具体的な対処法が身につきます。
特に、特定のネットワークだけで機能をオフにする設定が最もおすすめです。
もうこのエラーに悩まされず、快適にインターネットを利用できるようになります。
「現在のネットワーク設定ではコンテンツをプライバシーを保護した形で読み込むことができません」と表示される原因
- エラーメッセージの主な原因はiCloudの「プライベートリレー」
- プライベートリレーとはどんな機能?
- 公共のWi-Fiや職場のネットワークでエラーが出やすい理由
- メールアプリでこの表示が出るのはなぜ?
- VPNやセキュリティソフトが干渉している場合も
エラーメッセージの主な原因はiCloudの「プライベートリレー」
このエラーメッセージが表示される最も一般的な原因は、iCloudの「プライベートリレー」という機能がオンになっていることです。
プライベートリレーは、あなたのプライバシーを守るための優れた機能ですが、時々、利用しているネットワーク環境と相性が悪く、このエラーを引き起こしてしまうことがあるのです。
この機能は、iCloud+という有料サービスに含まれる機能の一つです。
iCloud+は、Appleのデバイスを使っている多くの人が、有料のストレージプラン(50GB、200GB、2TBなど)に加入した際に自動的に利用できるようになっています。
そのため、「有料サービスに申し込んだ覚えはないのに」と感じる方でも、実は知らないうちにプライベートリレー機能が有効になっているケースが少なくありません。
具体的には、iOS 15やmacOS Monterey以降のOSにアップデートした際に、自動でオンになっていることがあります。
つまり、あなたが何か特別な設定をしたわけではなくても、Appleのプライバシー保護機能が強化された結果として、このエラーに遭遇しやすくなっている、というわけですね。
まずは「プライベートリレー」という機能が、このエラーの引き金になっている可能性が非常に高い、と覚えておきましょう。
プライベートリレーとはどんな機能?
プライベートリレーとは、一言でいうと「インターネット上のあなたの身元情報を隠してくれる機能」です。
あなたがウェブサイトを見るとき、iPhoneやMacはあなたの「IPアドレス」という、インターネット上の住所のような情報を相手のサイトに送っています。
ウェブサイト側は、このIPアドレスを見ることで、あなたがどこからアクセスしているのか、どんなことに興味があるのかといった情報を集めることができます。
プライベートリレーは、この仕組みをブロックして、あなたのプライバシーを守ってくれるんです。
その仕組みを簡単に説明すると、以下の2ステップで行われています。
- あなたのIPアドレスをAppleが隠す:
まず、あなたの通信はAppleのサーバーを経由します。ここで、あなたの本当のIPアドレスが隠され、一時的なものに置き換えられます。 - 別の会社が宛先を隠す:
次に、Appleとは別の提携企業のサーバーを経由します。ここでは、あなたがどのウェブサイトを見ようとしているのかという情報が暗号化されます。
この2段階認証のような仕組みによって、Appleですら「誰が」「どこに」アクセスしているのかを完全に把握できないようになっています。
これにより、ウェブサイト側にあなたの個人情報を知られることなく、安全にインターネットを楽しめるというわけです。
非常に優れたプライバシー保護機能ですが、この「通信を中継する」という仕組みが、一部のネットワークではうまく機能しないことがあるんですね。
公共のWi-Fiや職場のネットワークでエラーが出やすい理由
このエラーが、特にカフェやホテルなどの公共Wi-Fiや、会社のネットワークで頻繁に表示されるのには、はっきりとした理由があります。
それは、これらのネットワークが持つセキュリティ設定と、プライベートリレーの機能がぶつかり合ってしまうからです。
多くの公共Wi-Fiや企業のネットワークでは、セキュリティ対策や管理のために、以下のような設定がされています。
- 特定のサイトへのアクセスを制限している(フィルタリング機能)
- ネットワークの利用状況を監視している
- ログイン認証が必要なページを設けている
これらのネットワークに接続すると、ネットワークの管理者は「誰が、どこにアクセスしているか」をある程度把握しようとします。
ところが、プライベートリレー機能がオンになっていると、あなたのiPhoneやMacは「私の身元も行き先も教えません」という状態で通信しようとします。
その結果、ネットワーク側が「この通信はルール違反だ」「正体不明の怪しい通信だ」と判断して、通信をブロックしてしまうのです。
このブロックによって通信がうまくできなくなり、「現在のネットワーク設定ではコンテンツをプライバシーを保護した形で読み込むことができません」というエラーメッセージが表示されてしまいます。
つまり、あなたのプライバシーを守ろうとするプライベートリレーと、ネットワークの安全を守ろうとする管理者側の設定が衝突している状態、と考えると分かりやすいですね。
メールアプリでこの表示が出るのはなぜ?
Safariでウェブサイトを見ている時だけでなく、標準のメールアプリでメールを開いた時にこのエラーが表示されることもあります。
これは、メールアプリに搭載されている「メールプライバシー保護」という機能が、プライベートリレーとよく似た仕組みで動いているためです。
iOS 15以降、Appleのメールアプリには、あなたのメール閲覧状況を相手に知られないようにするための「メールプライバシー保護」機能が追加されました。
この機能は、以下のような働きをします。
- 開封したことを相手に知らせない:
メールには「開封確認ピクセル」という、目に見えない小さな画像が埋め込まれていることがあります。この画像が読み込まれると、送信者はあなたがメールを開封したことを知ることができます。「メールプライバシー保護」は、この画像の読み込みをブロックします。 - IPアドレスを隠す:
メール内の画像を読み込む際に、あなたのIPアドレスが送信者に知られないように、プライベートリレーと同じように通信を複数のサーバー経由で行います。
この「IPアドレスを隠す」仕組みが、まさにエラーの原因です。
あなたが接続しているWi-Fiやネットワークがプライベートリレーに対応していない場合、同様にメールアプリのプライバシー保護機能による通信もブロックされてしまいます。
その結果、メール内の画像などを正しく読み込めず、「コンテンツをプライバシーを保護した形で読み込むことができません」というメッセージが表示されるのです。
ウェブサイトだけでなく、メールでも同様のエラーが出るのはこのためです。
VPNやセキュリティソフトが干渉している場合も
エラーの原因のほとんどはプライベートリレーですが、もしあなたがVPNアプリやセキュリティソフトを使っている場合、それらが原因でエラーが起きている可能性も考えられます。
なぜなら、VPNや一部のセキュリティソフトも、プライベートリレーと同じように「通信を暗号化して別のサーバーを経由させる」という機能を持っているからです。
これらの機能が、プライベートリレーと同時に動いてしまうと、お互いに干渉し合って正常な通信ができなくなることがあります。
具体的には、以下のような状況が考えられます。
- 機能の衝突:
プライベートリレーが通信を暗号化しようとしているのに、さらに上からVPNアプリも通信を暗号化しようとするなど、機能が二重にかかってしまい、通信が混乱してしまう。 - 互換性の問題:
お使いのVPNサービスやセキュリティソフトが、Appleのプライベートリレー機能にまだ完全に対応しておらず、予期せぬエラーを引き起こしている。
もしあなたが、以下のようなアプリをインストールしている場合は、一度そのアプリをオフにしてみて、エラーが解消されるか試してみる価値があります。
- VPN接続アプリ(NordVPN, Surfsharkなど)
- 広告をブロックするアプリ
- ウイルス対策などのセキュリティソフト
プライベートリレーをオフにしてもエラーが直らない、という場合は、次にこれらのアプリの存在を疑ってみると良いでしょう。
プライバシーを守るための機能同士が、かえって邪魔をし合っている状態かもしれないですね。
「現在のネットワーク設定ではコンテンツをプライバシーを保護した形で読み込むことができません」の対処法
- 【iPhone/iPad】特定のWi-Fiだけでプライベートリレーをオフにする設定方法
- 【iPhone/iPad】モバイル通信の時だけプライベートリレーをオフにするやり方
- 【Mac】プライベートリレーを無効にする手順
- 完全にプライベートリレーをオフにするデメリットは?
- 「IPアドレストラッキングを制限」をオフにするとどうなる?
- 何をしても直らない時のネットワーク設定リセット
- それでも解決しない場合に考えられること
【iPhone/iPad】特定のWi-Fiだけでプライベートリレーをオフにする設定方法
エラーが出ている特定のWi-Fiネットワークだけで「プライベートリレー」をオフにするのが、最もおすすめで簡単な対処法です。
この方法なら、自宅など問題のないネットワークではプライバシー保護機能を使い続けられるので、安全性と利便性の両方を保てますよ。
設定方法は、以下の手順でとても簡単です。
- まず、iPhoneまたはiPadの「設定」アプリを開きます。
- 次に、「Wi-Fi」の項目をタップします。
- 現在接続していてエラーが表示されるWi-Fiネットワーク名の横にある、青い「i」マークをタップしてください。
- 次の画面に「IPアドレストラッキングを制限」という項目があるので、このスイッチをオフ(白色)にします。
たったこれだけです。
この「IPアドレストラッキングを制限」というスイッチが、そのWi-Fiネットワークにおけるプライベートリレー機能のオン・オフを切り替えるスイッチなんです。
一度この設定をすれば、次回から同じWi-Fiに接続した時も設定が引き継がれるので、毎回操作する必要はありません。
カフェや職場など、特定の場所でだけエラーが出る場合に、まず試してほしい一番の方法になります。
【iPhone/iPad】モバイル通信の時だけプライベートリレーをオフにするやり方
もしWi-Fiではなく、4Gや5Gといったモバイルデータ通信を使っている時にこのエラーが出る場合は、モバイル通信の時だけプライベートリレーをオフにすることができます。
Wi-Fiの時と同じように、設定はとても簡単です。
以下の手順で進めてみてください。
- iPhoneまたはiPadの「設定」アプリを開きます。
- 次に、「モバイル通信」(または「モバイルデータ通信」)の項目をタップします。
- 「通信のオプション」という項目をタップしてください。
- この画面にある「IPアドレストラッキングを制限」のスイッチをオフ(白色)にします。
この設定を行うと、Wi-Fiに接続していない、つまりキャリアの回線を使っている時だけプライベートリレーが無効になります。
ご契約の携帯電話会社のネットワーク設定によっては、プライベートリレーがうまく機能しない場合があるため、このエラーが出ることがあります。
この設定をオフにしても、Wi-Fi接続時のプライベートリレー設定には影響しません。
モバイル通信の時だけエラーに悩まされている、という方はこの方法を試してみてくださいね。
【Mac】プライベートリレーを無効にする手順
Macをお使いの場合も、iPhoneと同様に特定のネットワークだけでプライベートリレーを無効に設定することが可能です。
カフェや職場でMacを使う時にエラーが出て困る、という場合はこの設定で解決できます。
お使いのmacOSのバージョンによって少し表示が違いますが、手順はほぼ同じです。
- 画面の左上にあるアップルメニュー(りんごのマーク)をクリックし、「システム設定」(または「システム環境設定」)を開きます。
- サイドバーから「ネットワーク」をクリックします。
- 現在接続しているWi-Fiネットワークを選択し、「詳細…」ボタンをクリックします。
- 開いたウィンドウの中に「IPアドレスのトラッキングを制限」というチェックボックスがあるので、このチェックを外します。
- 最後に「OK」をクリックして設定を保存します。
これで、そのWi-Fiネットワークに接続している間はプライベートリレーが無効になり、エラーが表示されなくなります。
iPhoneやiPadと同じように、一度設定すればMacがそのネットワークを覚えてくれるので、毎回設定し直す必要はありません。
エラーが出るネットワークでのみ、この設定を行ってみてください。
完全にプライベートリレーをオフにするデメリットは?
エラーが面倒だからといって、プライベートリレーの機能を完全にオフにしてしまうことには、明確なデメリットがあります。
それは、Appleが提供してくれている強力なプライバシー保護の恩恵を受けられなくなってしまうことです。
プライベートリレーを完全に無効にすると、具体的には以下のような状態に戻ってしまいます。
- あなたのIPアドレスが公開される:
あなたが訪れたウェブサイトや、利用しているネットワークの管理者に、あなたの本当のIPアドレスが伝わってしまいます。これにより、あなたのいる大まかな地域などが推測されやすくなります。 - あなたの閲覧履歴が追跡されやすくなる:
ウェブサイトを運営する企業は、あなたのIPアドレスをもとに、あなたがどのサイトをどんな順番で見たかといった情報を収集し、あなたの興味や関心のプロファイルを作成しやすくなります。 - 公共Wi-Fiでの安全性が低下する:
特に安全性の低い公共のWi-Fiを利用する際に、あなたの通信内容を覗き見されるリスクが少し高まります。
プライベートリレーは、こうした追跡からあなたを守ってくれる、いわば「インターネット上の透明マント」のようなものです。
このマントを完全に脱いでしまうのは、もったいないですよね。
そのため、機能を完全にオフにするのではなく、エラーが出るネットワークだけで一時的にオフにする方法を強くおすすめします。
「IPアドレストラッキングを制限」をオフにするとどうなる?
設定画面に出てくる「IPアドレストラッキングを制限」という言葉は、少し分かりにくいかもしれませんが、これはプライベートリレー機能のことを指しています。
このスイッチをオフにするということは、そのネットワークに接続している間、プライベートリレーの保護機能を使わない、という意味になります。
このスイッチをオフにすると、具体的には以下の2つのことが起きます。
- あなたの本当のIPアドレスが使われるようになる:
プライベートリレーによるIPアドレスの匿名化が行われなくなり、あなたのデバイスが持っている本来のIPアドレスがウェブサイトなどに通知されるようになります。 - 通信が暗号化・中継されなくなる:
Appleのサーバーを経由して通信を二重に暗号化する仕組みが働かなくなり、通常の通信方法に戻ります。
つまり、このスイッチをオフにすると、そのネットワーク上での通信は、プライベートリレー機能が導入される以前の、iOS 14までの状態と同じになる、と考えてください。
プライバシー保護のレベルは下がりますが、その代わり、ネットワークとの相性問題が解消されてエラーが出なくなる、というわけです。
「IPアドレストラッキングを制限」をオフ=「その場限りでプライベートリレーを無効にする」と覚えておけば大丈夫ですよ。
何をしても直らない時のネットワーク設定リセット
プライベートリレーをオフにしたり、他のアプリを止めたり、色々試してもエラーが解消されない場合の最終手段として、「ネットワーク設定のリセット」という方法があります。
これは、iPhoneやMacが記憶しているネットワーク関連の設定を、一度すべて工場出荷時の状態に戻す機能です。
ただし、この操作を行う前には、一つ大きな注意点があります。
それは、「保存されているすべてのWi-Fiのパスワードが消えてしまう」ということです。
自宅や職場、よく利用するカフェなどのWi-Fiパスワードをすべて再入力する必要があるので、パスワードが分からない場合は事前に確認しておきましょう。
それでも試す場合は、以下の手順で行います。
- iPhoneの「設定」アプリを開き、「一般」に進みます。
- 画面を一番下までスクロールし、「転送またはiPhoneをリセット」をタップします。
- 「リセット」をタップし、表示されたメニューから「ネットワーク設定をリセット」を選択します。
- パスコードの入力を求められるので、入力するとリセットが開始されます。
何らかの原因でネットワーク設定自体がおかしくなってしまっている場合に、このリセットは非常に有効です。
あくまで最終手段として、他の方法で直らなかった時に試してみてください。
それでも解決しない場合に考えられること
これまでの対処法をすべて試してもエラーが解決しない場合、問題の原因はあなたのiPhoneやMacではなく、外部の要因にある可能性が考えられます。
その場合に考えられることは、主に以下の3つです。
- ネットワーク側の問題:
接続しているWi-Fiルーター自体に一時的な不具合が起きているか、インターネット回線の提供元(プロバイダー)で通信障害が発生している可能性があります。一度Wi-Fiルーターを再起動してみるのも一つの手です。 - Appleのサーバー側の問題:
非常に稀なケースですが、プライベートリレー機能を提供しているAppleのサーバー側で、障害が発生している可能性もゼロではありません。Appleの公式サイトにある「システム状況」のページで、iCloud関連のサービスに問題が起きていないか確認できます。 - 特定のウェブサイトやアプリの問題:
エラーが表示されるのが、いつも同じ特定のウェブサイトやアプリだけ、という場合は、そのサイトやアプリ側がプライベートリレーの仕組みにうまく対応できていないのかもしれません。この場合は、利用者側でできることはほとんどありません。
色々試して疲れてしまったら、少し時間を置いてから再度試してみると、何事もなかったかのように直っていることもあります。
あまり思い詰めずに、これらの可能性も頭の片隅に置いておくと、少し気が楽になるかもしれませんね。
現在のネットワーク設定ではコンテンツをプライバシーを保護した形で読み込むことができませんまとめ
- このエラーの主な原因は、iCloud+の「プライベートリレー」機能がオンになっていることです。
- プライベートリレーは、IPアドレスを隠してプライバシーを保護するための優れた機能です。
- 公共のWi-Fiや職場のネットワークなど、セキュリティが厳しい環境でエラーは表示されやすくなります。
- iPhoneやMacの設定から、エラーが出る特定のネットワークだけで「IPアドレストラッキングを制限」をオフにするのが最も簡単な対処法です。
- メールアプリで表示される場合も、「メールプライバシー保護」機能が同じ仕組みで干渉しているのが原因です。
- プライベートリレーを完全にオフにするとプライバシー保護レベルが下がるため、推奨されません。
- 何をしても直らない時は、Wi-Fiパスワードが消えることを理解した上で「ネットワーク設定をリセット」を試します。