スマホがfastbootモードから抜け出せない場合でも、正しい手順を踏めば自力で復旧できる可能性があります。
主な原因はシステムの不具合や物理ボタンの故障で、まずはデータを消さずに済む強制再起動から試すのが基本です。
この記事では、PCを使わない簡単な対処法から、コマンドを使った専門的な直し方、各メーカー(Xiaomi, Xperia, AQUOS, Pixel)ごとの解決策まで具体的に紹介します。
対処法を試しても直らない場合の修理相談先まで解説しているので、落ち着いて一つずつ試していきましょう。
fastbootから抜け出せないときに考えられる原因
fastbootモードがそもそも何なのか知りたい
fastbootモードは、スマホのシステムをパソコンから直接操作するための、ちょっと特別なメンテナンスモードのことです。
普段、私たちがスマホを使うときは、AndroidというOS(基本ソフト)が動いていますよね。
でも、そのOSに何らかの問題が起きて正常に起動できなくなったときのために、もっと根本的な部分からスマホを操作できるように用意されているのがfastbootモードなんです。
例えば、システムファイルを直接書き換えたり、ソフトウェアのアップデートを手動で行ったり、あるいはスマホを工場出荷時の状態に戻す「初期化」を行ったりする際に使われます。
開発者や修理の専門家が使うことが多い機能ですが、私たち一般ユーザーがこの画面を目にするときは、大抵何らかの不具合が起きているサインかもしれません。
画面にドロイド君(Androidのマスコットキャラクター)が寝転がっているイラストや、英語の文字だけが並んだ黒い画面が表示されるのが特徴です。
普段はまったく意識する必要のない機能ですが、スマホの「緊急治療室」のようなものだと考えておくと分かりやすいでしょう。
意図せずこのモードになってしまったときは少し焦るかもしれませんが、これから説明する手順で元に戻せる可能性が高いので、落ち着いて対処していきましょうね。
fastbootから抜け出せなくなる主な原因は何?
fastbootから抜け出せなくなる主な原因は、システムの不具合や物理的なボタンの故障が考えられます。
一番よくあるのは、ソフトウェアのアップデート中にエラーが起きたり、システムの重要なファイルが何らかの理由で破損してしまったりするケースです。
スマホは正常に起動できなくなり、緊急用のfastbootモードで停止してしまう、というわけですね。
また、意外と見落としがちなのが、物理ボタンの故障です。
多くのAndroidスマホは、「電源ボタン」と「音量を下げるボタン」を同時に長押しするとfastbootモードに入る仕組みになっています。
そのため、音量ボタンが押されたまま元に戻らない状態になっていると、スマホを起動するたびに強制的にfastbootモードに入ってしまうことがあるんです。
スマホケースがボタンに干渉していたり、ボタンの隙間にゴミが詰まっていたりしないか、一度確認してみることをおすすめします。
その他にも、アプリの相性が悪くてシステムに不具合が生じたり、バッテリーが劣化して電圧が不安定になったりすることも、まれに原因となる場合があります。
まずはソフトウェアの問題を疑い、それでも解決しなければボタンの故障を考えてみる、という順番で原因を探っていくのがスムーズですよ。
対処法を実行するとデータは初期化される?
試す対処法によりますが、データが初期化されてしまう可能性はあります。
これから紹介する方法の中には、データを消さずに済むものと、どうしても初期化が必要になるものがあるんです。
まず、データを消さずに済む可能性が高いのは、以下の2つの方法です。
- 電源ボタンの長押しによる強制再起動
- PCのコマンドを使った「fastboot reboot」という命令
これらは、システムをもう一度起動し直すだけの操作なので、スマホ内の写真やアプリなどのデータに影響はありません。
一方で、データを初期化(工場出荷時の状態に戻す)する必要があるのは、「リカバリーモード」から「Wipe data/factory reset」を選択する場合です。
これは、システムの不具合が深刻で、再起動だけではどうにもならないときの最終手段となります。
この操作を行うと、残念ながらスマホ内に保存されているデータはすべて消えてしまいます。
ですので、まずはデータを消さずに済む方法から順番に試していくことがとても大切です。
もし、日頃からGoogleアカウントなどでデータのバックアップを取っているのであれば、初期化が必要になっても、新しいスマホと同じようにデータを復元できるので安心してくださいね。
物理ボタンの故障が疑わしい症状
電源を入れるたびに必ずfastbootモードで起動してしまう場合は、物理ボタンの故障が強く疑われます。
先ほどもお伝えしたように、多くのスマホは「電源ボタン」と「音量を下げるボタン」の同時長押しでfastbootモードに入ります。
この「音量を下げるボタン」が、何らかの原因で押されたままになっていたらどうでしょうか。
あなたが電源ボタンを押してスマホを起動しようとするたびに、スマホは「電源ボタンと音量ダウンボタンが同時に押された」と判断して、毎回fastbootモードを起動してしまうのです。
具体的な症状としては、以下のようなものが挙げられます。
- 再起動しても、必ずfastbootの画面に戻ってくる。
- 音量を下げようとしてもボタンがカチッとせず、反応が鈍い。
- スマホケースを外すと症状が改善することがある。
- ボタンの周りに汚れやベタつきがある。
もし、これらの症状に心当たりがあるなら、まずはボタン周りを優しく掃除してみてください。
柔らかい布や、乾いた歯ブラシなどで隙間のゴミをかき出すだけで、改善することもあります。
また、スマホケースがボタンを圧迫している可能性も考えられるので、一度ケースを外した状態で起動を試してみるのも有効な手段ですよ。
それでも状況が変わらない場合は、ボタン自体の物理的な故障の可能性が高いと言えるでしょう。
fastbootから抜け出せない状態を解決する具体的な手順
- 最初に試す最も簡単な強制再起動のやり方
- PCなしでできるリカバリーモードでの復旧手順
- PCのコマンドプロンプトを使った解除方法
- 「fastboot reboot」コマンドが効かないときの対処法
- Xiaomi製スマホで有効な解決策
- Xperiaがループする場合の直し方
- AQUOSシリーズで試せる特殊な操作
- Google Pixelを確実に復帰させるコマンド
- Androidのアップデート失敗から復旧させるには
- 自力で解決できない場合の修理相談先
- 復旧作業で使える便利なツール一覧
最初に試す最も簡単な強制再起動のやり方
fastbootモードから抜け出すために、まず試してほしいのが「強制再起動」です。
これはパソコンや特別な知識がなくてもできる、一番シンプルでリスクの低い対処法になります。
やり方はとても簡単で、お使いのスマートフォンの電源ボタンを、画面が消えるまで長押しし続けるだけです。
具体的には、10秒から30秒ほど押し続けてみてください。
多くのAndroidスマートフォンでは、この操作によってシステムが強制的に再起動され、見慣れたロック画面やホーム画面が表示されるはずです。
もし一度でうまくいかなくても、諦めずにもう一度試してみてくださいね。
この方法は、一時的なソフトウェアの不具合でfastbootモードに入ってしまった場合に、特に効果的です。
例えるなら、パソコンがフリーズしたときに再起動するのと同じような感覚ですね。
この操作でスマホ内のデータが消えることはないので、安心して試すことができます。
ただし、注意点が一つあります。
長押ししても全く反応がない、あるいは再起動はするものの、またすぐにfastbootの画面に戻ってきてしまう場合は、別の原因が考えられます。
その際は、これから説明する次のステップに進んでみましょう。
まずは第一歩として、この強制再起動を試すのが一番のおすすめです。
PCなしでできるリカバリーモードでの復旧手順
強制再起動で解決しない場合、次にパソコンを使わずに試せるのが「リカバリーモード」を使った対処法です。
リカバリーモードは、fastbootモードと同じくスマホのメンテナンス用機能ですが、こちらではスマホ本体の操作だけでシステムを復旧させるメニューが選べます。
ただし、この方法には注意が必要で、操作を誤るとデータが初期化されてしまう可能性があります。
手順をよく確認しながら、慎重に進めてくださいね。
- まず、fastbootモードの画面で、音量ボタンを使ってカーソルを動かします。
- メニューの中から「Recovery mode」(リカバリーモード)という項目を探し、電源ボタンを押して決定します。
- 画面が切り替わり、「No command」というエラーメッセージと、倒れたドロイド君が表示されることがあります。その場合は、電源ボタンを押しながら、音量「上」ボタンを1回ポンと押してみてください。
- リカバリーモードのメニューが表示されたら、音量ボタンで「Reboot system now」(システムを今すぐ再起動)を選択し、電源ボタンで決定します。
この「Reboot system now」は、システムを再起動するだけのコマンドなので、データは消えません。
多くの場合、この操作で正常にスマホが起動します。
もし、これでもfastbootモードに戻ってしまう場合は、同じリカバリーモードのメニュー内にある「Wipe data/factory reset」を選ぶことで解決する可能性がありますが、これはスマホを初期化する最終手段です。
実行する前に、データのバックアップがないか必ず思い出してくださいね。
PCのコマンドプロンプトを使った解除方法
もしご自宅にパソコンがあるなら、コマンドプロンプトという機能を使ってfastbootモードを解除する方法が効果的です。
少し専門的に聞こえるかもしれませんが、手順通りに進めれば難しくはありません。
この方法のメリットは、スマホを強制的に再起動させる命令を送れることで、データも消さずに済みます。
まず、事前準備として以下の2つが必要です。
- パソコン(WindowsまたはMac)
- スマホとパソコンを繋ぐUSBケーブル
- パソコンに「ADB and Fastboot」ツールのインストール
「ADB and Fastboot」は、パソコンからAndroidスマホを操作するための公式ツールです。Googleで検索すれば、簡単にダウンロードとインストール方法が見つかりますよ。
準備ができたら、以下の手順で進めていきましょう。
- fastbootモードのスマホを、USBケーブルでパソコンに接続します。
- パソコンで「コマンドプロンプト」(Macの場合は「ターミナル」)を起動します。
- コマンドプロンプトの黒い画面に、以下の半角英数のコマンドを入力し、Enterキーを押します。
fastboot devices - ランダムな英数字が表示されたら、スマホが正しく認識されています。何も表示されない場合は、USBケーブルの接続やドライバーのインストールを再確認してください。
- 最後に、以下の再起動コマンドを入力してEnterキーを押します。
fastboot reboot
このコマンドが成功すれば、スマホは自動的に再起動し、通常のホーム画面が立ち上がるはずです。
「fastboot reboot」コマンドが効かないときの対処法
先ほど紹介した「fastboot reboot」コマンドを実行しても、スマホが再起動しない、または再起動してもfastboot画面に戻ってしまうことがあります。
そんなときは、いくつか試せる別のコマンドがありますので、落ち着いて対応しましょう。
この状況は、システムのより深い部分で問題が起きている可能性を示唆しています。
まず試してほしいのが、システムが起動するスロットを切り替えるコマンドです。
最近のAndroidスマホは、アップデートを安全に行うためにシステム領域をAとBの2つ持っています(A/Bパーティション)。
現在起動しようとしているスロット(例えばA)に問題がある場合、もう一方のスロット(B)に切り替えることで正常に起動できるかもしれません。
以下のコマンドを順番に試してみてください。
- 現在のアクティブなスロットを確認します。
fastboot getvar current-slot
(例えば “a” と表示されたとします) - もう一方のスロットに切り替えます。
fastboot –set-active=b
(”a” だった場合は “b” に、”b” だった場合は “a” を指定します) - 切り替えた後、再起動します。
fastboot reboot
これで起動できれば、一時的に古いバージョンのシステムで立ち上がっている状態なので、早めにデータのバックアップを取っておきましょう。
もし、これでも解決しない場合は、システム全体を強制的に再起動させる、少し強力なコマンドを試します。
fastboot reboot bootloader
これを実行したあとに、再度 fastboot reboot を試すと、うまくいくことがあります。
これらのコマンドでも状況が改善しない場合は、残念ながら個人でできる範囲を超えている可能性が高いです。
Xiaomi製スマホで有効な解決策
Xiaomi(シャオミ)やRedmi(レッドミー)シリーズのスマートフォンでfastbootから抜け出せない場合、専用の公式ツールを使うのが最も確実で安全な解決策です。
Xiaomiは「MiFlash Tool」という、パソコン用の公式ソフトウェアを提供しています。
これは、スマートフォンのシステム(ファームウェア)を丸ごと書き換えて、工場出荷時のクリーンな状態に戻すためのツールです。
システムの破損が原因でfastbootループに陥っている場合に、非常に高い効果が期待できます。
ただし、この方法はスマホ内のデータがすべて消去される「初期化」を伴うので、実行する前にはその点を覚悟しておく必要があります。
手順の概要は以下の通りです。
- パソコンに「MiFlash Tool」と、お使いの機種に対応した「Fastboot ROM」をダウンロードします。(公式サイトなどで配布されています)
- MiFlash Toolを起動し、ダウンロードしたROMファイルを解凍して指定します。
- fastbootモードのXiaomiスマホをパソコンに接続します。
- MiFlash Toolの画面下部にあるオプションで、「clean all」を選択します。(データを残す「save user data」もありますが、ループ状態では成功率が低いです)
- 「flash」ボタンをクリックして、書き込みを開始します。
処理には数分かかりますが、完了するとスマホは自動的に再起動し、初期設定画面が表示されるはずです。
少し手順は複雑ですが、メーカーが提供している正規の方法なので、修理に出す前に試す価値は十分にあります。
もしご自身での操作に不安がある場合は、無理せず専門の修理業者に相談するのが良いでしょう。
Xperiaがループする場合の直し方
Xperiaシリーズのスマートフォンがfastbootモードから抜け出せない、または起動を繰り返すループ状態に陥った場合、公式ツール「Xperia Companion」を使うのが最もおすすめの対処法です。
この方法は、先ほどのXiaomiの例と同様に、パソコンを使ってXperiaのソフトウェアを修復するものです。
Xperia CompanionはSONYが公式に提供しているソフトウェアで、指示に従って操作するだけで、安全に初期化とソフトウェアの再インストールを行ってくれます。
この修復プロセスを実行すると、残念ながら端末内のデータはすべて消去されてしまいます。しかし、システムの不具合を根本から解決できる可能性が非常に高いです。
詳しい手順は以下のようになります。
- パソコンにSONYの公式サイトから「Xperia Companion」をインストールします。
- Xperia Companionを起動し、「ソフトウェアの修復」を選択します。
- 画面の指示に従い、注意事項を確認し、チェックボックスを入れて進みます。
- 「Xperiaを検出または起動できません」という画面が表示されたら、お使いのデバイスの種類(スマートフォンまたはタブレット)を選択します。
- スマートフォンの電源を完全にオフにします。
- 画面の指示に従い、音量「下」ボタンを押しながら、USBケーブルでパソコンと接続します。
(この操作で、Xperiaは強制的にfastbootモード、またはFlashmodeで接続されます) - ソフトウェアのダウンロードとインストールが自動的に開始されるので、完了するまで待ちます。
この作業が完了すれば、Xperiaは工場出荷時の状態で再起動するはずです。
もしXperia Companionで端末が認識されない場合は、USBケーブルやパソコンのポートを変えて試してみてください。
AQUOSシリーズで試せる特殊な操作
AQUOSシリーズのスマートフォンでfastbootモードから抜け出せなくなった場合、他のメーカーとは少し異なる特殊な操作で解決できることがあります。
まず、最初に試すべきなのは、やはり電源ボタンの長押しによる強制再起動です。
AQUOSの場合は、電源ボタンを8秒以上長押しすると、ブルっと一度振動して強制的に電源が切れます。その後、もう一度電源ボタンを押して起動を試してみてください。
これでダメな場合に試してほしいのが、「セーフモード」での起動です。
セーフモードは、購入時にインストールされていたアプリだけでシステムを起動するモードで、後から入れたアプリが原因で不具合が起きている場合に有効です。
AQUOSをセーフモードで起動する手順は少し独特です。
- 電源がオフの状態で、電源ボタンを長押しします。
- 「AQUOS」のロゴが表示されたら、電源ボタンから指を離し、すぐに音量「下」ボタンを押し続けます。
- 起動が完了するまで音量「下」ボタンを押し続けると、画面の左下に「セーフモード」と表示されるはずです。
もしセーフモードで正常に起動できたなら、最近インストールしたアプリや、挙動がおかしかったアプリをアンインストールすることで、問題が解決する可能性が高いです。
アプリを削除した後に通常通り再起動し、fastbootモードに入らないか確認してみましょう。
これらの方法でも解決しない場合は、残念ながらシステムの破損が考えられます。
その際は、キャリアショップやシャープの修理窓口に相談することをおすすめします。
Google Pixelを確実に復帰させるコマンド
Google Pixelシリーズのスマートフォンがfastbootモードで固まってしまった場合、Googleが提供する公式ツールを使うのが最も安全で確実な復旧方法です。
その名も「Android Flash Tool」といい、Webブラウザ上で操作が完結するため、専門的なコマンドを打ち込む必要がなく、初心者の方でも比較的安心して利用できます。
この方法は、Pixelのシステムを最新の公式イメージに書き換えることで、ソフトウェアの問題を根本から解決します。
ただし、端末内のデータはすべて消去されてしまうので、その点はご注意ください。
利用するには、以下のものが必要です。
- パソコン(Windows, macOS, Linux, ChromeOS)
- Google ChromeやMicrosoft Edgeなどの対応Webブラウザ
- スマホとパソコンを繋ぐUSBケーブル
手順は以下の通りです。
- パソコンで「Android Flash Tool」の公式サイトにアクセスします。
- 画面の指示に従って、ADBドライバのインストールなどを許可します。
- fastbootモードのPixelを、USBケーブルでパソコンに接続します。
- サイト上で、接続されたPixelデバイスが自動的に認識されます。
- 復元したいAndroidのバージョンを選択します。(通常は最新の公開ビルドでOKです)
- 「Wipe device (初期化)」や「Lock bootloader (ブートローダーをロック)」などのオプションにチェックが入っていることを確認します。
- 「Install build」ボタンをクリックし、後は画面の指示に従って操作を進めます。
すべてのプロセスが完了すると、Pixelは工場出荷時の状態で自動的に再起動します。
公式ツールなので安心して利用できますし、Pixelユーザーなら覚えておいて損はない復旧方法ですよ。
Androidのアップデート失敗から復旧させるには
Androidのシステムアップデート中にエラーが発生し、fastbootモードから抜け出せなくなった場合、最も有効なのは、再度アップデートをやり直すか、アップデート前の状態に復元することです。
アップデートの失敗は、システムの重要な部分が書き換え途中で中断されてしまった状態なので、単純な再起動では解決しないことがほとんどです。
復旧させる方法は、お使いのスマートフォンのメーカーによって異なりますが、大きく分けて2つのアプローチがあります。
メーカー提供のPCツールを使って修復する
これは、これまでにご紹介してきたXiaomiの「MiFlash Tool」や、SONYの「Xperia Companion」、Googleの「Android Flash Tool」などを使う方法です。
これらのツールは、パソコンからスマホのシステム全体を正しいファームウェア(OSのデータ)で上書きしてくれます。
アップデートの失敗をリセットし、まっさらな状態からやり直すイメージですね。これが最も確実な方法ですが、データは初期化されます。
リカバリーモードからキャッシュを削除する
アップデートの一時ファイルが破損して悪影響を与えている場合、リカバリーモードからキャッシュパーティションを削除することで解決することがあります。
リカバリーモードを起動し、「Wipe cache partition」というメニューがあれば選択してみてください。(このメニューがない機種も増えています)この操作でユーザーデータが消えることはありません。
もしキャッシュ削除で改善しない場合は、残念ながらPCツールを使った初期化が必要になる可能性が高いです。
アップデートの失敗は自力での復旧が難しいケースも多いので、不安な場合は無理せず、契約しているキャリアやメーカーのサポートに相談することをおすすめします。
自力で解決できない場合の修理相談先
これまで紹介したすべての方法を試してもfastbootモードから抜け出せない場合、残念ながら個人で対応できる範囲を超えている可能性が高いです。
その際は、無理に操作を続けると状態を悪化させてしまう恐れもあるため、専門家に相談することをおすすめします。
主な相談先としては、以下の3つが考えられます。
相談先 | メリット | デメリット | こんな人におすすめ |
契約キャリア | 対面で相談でき、代替機の貸し出しも期待できる | 修理費用が高くなる傾向があり、時間がかかる | docomo, au, SoftBankなどでスマホを購入した人 |
メーカー | 純正部品で修理してもらえ、安心感が高い | 近くに窓口がない場合、郵送修理になる | SIMフリー版のスマホを使っている人 |
非正規の修理店 | 修理が早く、費用も安いことが多い | 修理品質にばらつきがあり、メーカー保証の対象外になる可能性 | とにかく早く安く直したい、データも残したい人 |
まず最初に連絡すべきなのは、お使いのスマートフォンを契約した携帯キャリア(docomo、au、SoftBankなど)のショップです。
対面で状況を説明でき、修理中の代替機を貸し出してくれる場合もあります。
SIMフリーモデルをお使いの場合は、メーカーのサポートセンターに直接問い合わせましょう。
そして、保証期間が過ぎていて、とにかく早く安く直したい、データを何とかして残したいという場合は、「スマホ修理」などのキーワードで検索して見つかる、街の非正規修理店も選択肢になります。
ただし、非正規店で修理すると、その後メーカーの保証が受けられなくなる可能性があるので、その点は理解しておきましょう。
ご自身の状況に合わせて、最適な相談先を選んでくださいね。
復旧作業で使える便利なツール一覧
fastbootモードからの復旧作業を自分で行う際に、知っていると便利なツールがいくつかあります。
これらは主にパソコンにインストールして使用するもので、コマンド操作を簡単にしてくれたり、必要なファイルをまとめてダウンロードできたりと、作業をスムーズに進める手助けをしてくれます。
ここでは、代表的なツールをいくつかご紹介します。
ツール名 | 主な機能 | 特徴 |
ADB and Fastboot Tool | fastbootコマンドやADBコマンドを実行する | Googleが提供する公式ツール。コマンド操作の基本となるため必須。 |
Android Flash Tool | Google Pixelのファームウェアを書き込む | Webブラウザ上で完結し、操作が非常に簡単。Pixelユーザー向け。 |
Xperia Companion | Xperiaのソフトウェア修復、バックアップ、復元 | SONYの公式ツール。画面の指示に従うだけで操作できる。 |
MiFlash Tool | Xiaomi製スマホのファームウェアを書き込む | Xiaomiの公式ツール。少し専門的だが、強力な復旧が可能。 |
Odin | Samsung製スマホのファームウェアを書き込む | Samsungのサービスセンターなどで使われるツール。非公式だが有名。 |
Minimal ADB and Fastboot | ADBとFastbootの機能を最小構成でインストールできる | 公式ツールよりも手軽に導入でき、すぐにコマンドを試したい場合に便利。 |
まず基本となるのが、Googleが提供する「ADB and Fastboot Tool」です。
これは、本記事でも紹介した fastboot reboot などのコマンドを使うために必要な土台となるソフトウェアです。
お使いのスマホがGoogle Pixel、Xperia、Xiaomiの場合は、それぞれ専用の公式ツールが用意されており、これらを使うのが最も安全で確実です。
Samsungのスマホをお使いなら「Odin」というツールが有名です。
これらのツールは、いずれも「(ツール名) 使い方」などで検索すれば、詳しいインストール方法や操作手順が見つかります。
少し難しく感じるかもしれませんが、あなたのスマホを救うための強力な味方になってくれるはずですよ。
fastbootから抜け出せないまとめ
- fastbootから抜け出せない主な原因は、システムの不具合や物理ボタンの故障です。
- 最初に試す最も簡単な対処法は、データが消えない電源ボタン長押しでの強制再起動です。
- PCなしで復旧させるには、リカバリーモードからの再起動が有効な場合があります。
- パソコンがあれば「fastboot reboot」というコマンドで、安全に再起動を試せます。
- XiaomiやXperia、Pixelなどの機種は、メーカー公式の復旧ツールを使うのが確実です。
- Androidのアップデート失敗が原因の場合、最終手段としてデータの初期化が必要になることもあります。
- 自力での解決が難しいと感じたら、無理せずキャリアや専門の修理業者へ相談しましょう。
- ステップ4:パーマリンク