AdGuardの危険性は本当?VPN・ロシアの懸念を解消する安全な使い方と設定方法

AdGuardは、仕組みを正しく理解し、適切に設定すれば危険性は極めて低く、安全に利用できる広告ブロックアプリです。

多くの人が不安に感じるVPN接続による通信の抜き取りや、運営会社がロシア発祥であることへの懸念には明確な理由があります。

この記事では、個人情報漏洩の可能性や「使わないほうがいい」と言われる理由を一つひとつ解消していきます。

さらに、iPhoneやAndroidで安全に使うための具体的な設定方法も紹介します。

最後まで読めば、AdGuardの安全性を納得した上で、快適なインターネット環境を手に入れることができます。

目次

AdGuardに潜む危険性とは

VPN接続で通信内容が抜き取られるリスク

AdGuardが利用するVPN接続によって、通信内容が抜き取られるリスクは極めて低いです。

なぜなら、AdGuardが採用しているのは「ローカルVPN」という特殊な仕組みだからです。

一般的なVPNサービスは、海外などにある外部のサーバーを通して通信することで、自分の身元を隠したりします。

しかし、AdGuardのローカルVPNは、通信データを外部のサーバーに一切送信しません。

スマホやPCの「内部」だけで処理が完結するVPNなのです。

具体的には、AdGuardはスマホ内に仮想のトンネルを作り、そこを通過する通信の中から広告に関連するものだけを見つけ出してブロックします。

あなたの閲覧履歴やパスワードといった情報が、AdGuardの会社のサーバーに送られることはありません。

スマホの画面に「VPN」と表示されるため、「どこか外部に接続されているのでは?」と不安に感じるかもしれませんが、これはあくまでスマホ内部の処理のために表示されているだけ。

仕組みを正しく理解すれば、通信内容の抜き取りを過度に心配する必要はないと言えるでしょう。

運営会社がロシアの企業であることへの懸念

AdGuardの運営会社はもともとロシアで設立されましたが、現在は本社をEU加盟国であるキプロスに移しています。

そのため、ロシアの法律が直接及ぶことはなく、安全性への懸念はかなり低減されていると言えます。

ロシアの企業と聞くと、現在の国際情勢から不安を感じる方もいるかもしれません。

AdGuard社もそうしたユーザーの不安を理解しており、対策として本社をキプロスに移転しました。

キプロスはEUに加盟しているため、世界で最も厳しいデータ保護規則の一つである「GDPR」を遵守する義務があります。

さらに、AdGuardは透明性を非常に重視している会社です。

その証拠に、自社のアプリの設計図である「ソースコード」をインターネット上で全て公開しています。

これは、「私たちのアプリには、情報を盗むような危険なプログラムは一切入っていません。誰でも自由に中身を確認してください」という自信の表れです。

ロシア発祥という点は事実ですが、現在はEUの法律下で運営され、情報も公開されているため、過度に心配する必要はないでしょう。

個人情報が漏洩する可能性

正しく使用している限り、AdGuardが原因で個人情報が漏洩する可能性は非常に低いです。

AdGuardの基本的な役割は、広告や悪質なサイトへの通信を「遮断」することであり、ユーザーの通信内容を収集することではありません。

公式のプライバシーポリシーでも、ユーザーの閲覧履歴や入力したパスワードといった個人を特定できる情報は収集しないと明記されています。

AdGuardが収集するのは、アプリが正常に動作しているかを確認するための、個人が特定できない統計データやクラッシュレポートなどに限定されています。

これは、アプリの品質を改善するために必要な情報収集です。

ただし、一つだけ知っておきたい点があります。

それは、「フィッシング詐使サイトからの保護」のような高度なセキュリティ機能を有効にした場合です。

この機能は、あなたがアクセスしようとしているサイトが危険かどうかを判断するために、サイトのアドレス(ドメイン名)をAdGuardのサーバーに問い合わせます。

もちろん、この通信は暗号化されていますが、「どのサイトにアクセスしようとしたか」という情報が、一瞬だけAdGuardのサーバーとやり取りされることになります。

この点をどう捉えるかは個人の判断になりますが、個人情報そのものが漏れるリスクは極めて小さいと言えます。

「使わないほうがいい」と言われる理由

「AdGuardは使わないほうがいい」という意見が聞かれる主な理由は、「設定の複雑さ」「一部サイトでの表示不具合」「仕組みへの誤解」の3つです。

まず、AdGuardは非常に多機能なため、設定項目が多く、ITに詳しくない方には少し複雑に感じられることがあります。

設定を間違えると、広告だけでなく必要な情報までブロックしてしまい、「サイトが正しく見られない、だから危険だ」と結論づけてしまうケースです。

次に、広告ブロック機能が強力なため、Webサイトによってはレイアウトが崩れたり、動画が再生できなくなったりすることがあります。

これはAdGuardの副作用とも言える部分で、その都度設定を調整するのが面倒に感じられ、「使いにくいから使わないほうがいい」という評価につながります。

最後に、これまで説明してきたVPN接続の仕組みや、運営会社がロシア発祥であることへの誤解から、漠然とした不安を感じて「危険だから使わないほうがいい」と判断してしまう人も少なくありません。

これらの理由は、AdGuard自体の欠陥というよりは、その特性や使い方を十分に理解していないことから生じる評価と言えるでしょう。

利用することで起こりうるデメリット

AdGuardは非常に便利なアプリですが、利用することでいくつかのデメリットも発生する可能性があります。

最もよくあるデメリットは、ウェブサイトの表示に不具合が起きることです。

広告ブロック機能があまりにも強力なため、サイトによっては広告以外の重要な部分まで誤ってブロックしてしまうことがあります。

例えば、以下のようなケースです。

  • ログインボタンが押せない
  • 特定の画像や動画が表示されない
  • アンケートや申し込みフォームが正常に動作しない
  • サイトのレイアウトが大きく崩れる

こうした場合、一時的にAdGuardの保護をオフにしたり、そのサイトをブロックの対象外に設定したりする手間が発生します。

また、AdGuardは常にバックグラウンドで通信を監視しているため、スマホのバッテリー消費量が少し増加する傾向があります。

特に古い機種をお使いの場合、バッテリーの減りが早くなったと感じるかもしれません。

これらのデメリットを理解した上で、広告のない快適さと天秤にかけて利用を判断する必要がありますね。

無料版と有料版で安全性に違いはあるのか

AdGuardの無料版と有料版の間に、安全性そのものの違いはありません。

どちらのバージョンも、個人情報の取り扱いに関する基本的な考え方(プライバシーポリシー)や、通信を保護する根本的な仕組みは全く同じです。

無料版だから危険で、有料版なら安全、ということは決してありませんので安心してください。

では、無料版と有料版で何が違うのかというと、それは「広告をブロックできる範囲」です。

無料版と有料版の機能の違いを簡単に表にまとめました。

機能無料版(ブラウザ拡張機能)有料版(アプリ)
ブラウザ内の広告ブロック
YouTubeアプリ内の広告ブロック×
他のアプリ内の広告ブロック×
フィッシングサイトからの保護
DNSレベルでの保護×

このように、無料版は主にSafariやChromeといったWebブラウザでサイトを見ている時の広告しかブロックできません。

一方で有料版は、ブラウザだけでなく、YouTubeアプリやニュースアプリ、ゲームアプリなど、スマホに入っているあらゆるアプリ内の広告までブロック対象にできるのです。

より広範囲で広告を消したいかどうかで、どちらのバージョンを選ぶかが決まります。

実際のユーザーからの評判と口コミ

AdGuardの評判を調べてみると、その強力な広告ブロック性能を絶賛する声が圧倒的に多いです。

一方で、一部では設定の難しさなどを指摘する声も見られます。

肯定的な口コミで最も多いのは、やはりYouTubeの広告が完全に消えることへの感動の声です。

「もう広告がない生活には戻れない」「ストレスが全くなくなった」といった意見がSNSなどで数多く見つかります。

また、「Webサイトの読み込みが速くなった」「怪しいサイトを警告してくれるので安心」など、快適性や安全性の向上を評価する声も目立ちます。

一方で、否定的な口コミとしては、「設定項目が多すぎて、どれをオンにすればいいのか分からない」「サイトによっては表示が崩れるので、その都度オフにするのが面倒」といった、多機能であるがゆえの複雑さを指摘する意見があります。

また、「バッテリーの消費が少し気になる」といった声も時々見られます。

全体としては、デメリットを理解した上で、それを上回るメリットを感じているユーザーが大多数という印象です。

AdGuardの危険性を回避して安全に使う方法

安全性を高めるためのおすすめ初期設定

AdGuardをインストールしたら、最初にいくつか設定を見直すことで、より安全かつ快適に使うことができます。

多機能な分、設定項目が多くて戸惑うかもしれませんが、押さえておきたいポイントは限られています。

まず、一番重要なのが「フィルタ」の選択です。

フィルタとは、どの広告をブロックするかのルールが書かれたリストのことです。

AdGuardアプリの設定から「コンテンツブロック」や「広告ブロック」の項目に進み、「フィルタ」を選択します。

基本的には、最初から有効になっている「AdGuard ベースフィルタ」や「日本語フィルタ」だけで十分強力です。

あまり多くのフィルタを有効にすると、サイトの表示不具合が増えたり、スマホの動作が重くなったりする原因になるので注意しましょう。

次に、「プライバシー設定」の項目を確認します。

ここでは、「トラッキング(追跡)から保護」のレベルを調整できます。

初期設定は「標準」になっていますが、よりプライバシーを重視するなら「高レベル」に変更するのも良いでしょう。

ただし、これもサイトの表示に影響することがあるので、何か問題が起きたら標準に戻してみてください。

これらの基本的な設定を最初に行っておくだけで、AdGuardの性能をしっかり引き出しつつ、トラブルを減らすことができますよ。

iPhoneで利用する際の注意点

iPhoneでAdGuardを利用する際には、特に「Safari」の設定と「DNS保護」の2つがポイントになります。

iPhoneの場合、AdGuardの広告ブロック機能を最大限に活かすには、Safariの設定を正しく行う必要があります。

まず、iPhoneの「設定」アプリを開き、「Safari」→「機能拡張」と進みます。

そこにAdGuardに関連する項目がいくつか並んでいるので、それらをすべてオン(許可)にしてください。

これを忘れると、Safariでサイトを見ている時に広告がブロックされないので、必ず確認しましょう。

もう一つが、有料版で利用できる「DNS保護」という機能です。

これを有効にすると、Safariだけでなく、他のアプリ内の広告もブロックできるようになります。

ただし、この機能をオンにすると、iPhoneのステータスバーに常に「VPN」というアイコンが表示されるようになります。

これはAdGuardが通信を監視するために表示されるもので、実際に外部のVPNサーバーに接続しているわけではありません。

最初は少し気になるかもしれませんが、広告を広範囲にブロックするためには必要な表示だと理解しておくと安心です。

この2点を押さえておけば、iPhoneでもAdGuardを快適に利用できます。

Androidで利用する際の注意点

AndroidでAdGuardを利用する場合、iPhoneとは少し違った注意点があります。

それは、アプリをどこからダウンロードするか、という点です。

現在、Google Playストアで配信されているAdGuardは、Googleの規約上の理由で、広告ブロック機能が制限されたバージョンになっています。

そのため、YouTubeアプリ内広告のブロックなど、AdGuardの全ての機能を使うためには、AdGuardの公式サイトから直接アプリ(apkファイル)をダウンロードしてインストールする必要があります。

公式サイトからのダウンロードは安全ですが、通常とは異なる手順になるため、少し戸惑うかもしれません。

インストールする際には、Androidの設定で「提供元不明のアプリのインストール」を一時的に許可する必要があります。

また、アプリのアップデートもPlayストア経由ではなく、アプリ内からの通知に従って手動で行うことになります。

この「公式サイトから直接インストールする」という点が、AndroidでAdGuardを最大限に活用するための最も重要なポイントです。

少し手間はかかりますが、この手順を踏むことで、強力な広告ブロック機能の恩恵をフルに受けることができますよ。

AdGuard DNSの仕組みと安全性

AdGuard DNSは、アプリをインストールしなくても、広告やトラッカーをブロックできる無料のサービスです。

DNSというインターネットの仕組みを利用して、安全性を高めることができます。

DNSとは、私たちが「google.com」のようなウェブサイトのアドレスを入力した時に、それをコンピュータが理解できる数字の住所(IPアドレス)に変換してくれる、インターネットの住所案内係のようなものです。

通常、このDNSサーバーは、私たちが契約しているプロバイダーなどが提供するものを使っています。

AdGuard DNSは、この案内係をAdGuardが提供するものに切り替えることで機能します。

AdGuardのDNSサーバーは、広告を配信するサーバーや、悪質なサイトの住所をリストとして持っています。

私たちがそうしたサイトにアクセスしようとすると、AdGuard DNSが「その住所は危険なので案内できません」と、接続をブロックしてくれるのです。

アプリと違い、スマホやルーターのネットワーク設定でDNSサーバーのアドレスを変更するだけで利用できます。

通信内容そのものを監視するわけではないので、プライバシー面での心配も少なく、手軽にセキュリティを高められるのが大きなメリットです。

Safariで安全に使うための設定

iPhoneやMacの標準ブラウザであるSafariでAdGuardを効果的に使うには、いくつかの簡単な設定が必要です。

この設定を済ませることで、ウェブサイトの広告をしっかりとブロックし、快適なブラウジング環境が手に入ります。

まず、iPhoneで設定する手順は以下の通りです。

  1. iPhoneの「設定」アプリを開きます。
  2. 下にスクロールして「Safari」を選択します。
  3. 「機能拡張」(または「コンテンツブロッカー」)という項目をタップします。
  4. AdGuardに関連するスイッチがいくつか表示されるので、それらをすべて「オン」にします。

Macの場合も同様に、Safariの環境設定から設定を行います。

  1. Safariを起動し、メニューバーの「Safari」から「設定」を選択します。
  2. 「機能拡張」タブを開きます。
  3. 左側のリストに表示されているAdGuardのチェックボックスにチェックを入れます。

この「機能拡張を有効にする」というステップが、AdGuardをSafariで機能させるための鍵です。

これを忘れてしまうと、AdGuardアプリをインストールしただけでは広告が消えないので注意してください。

たったこれだけの設定で、Safariでのウェブ閲覧が格段に安全で快適になりますよ。

YouTube広告を安全にブロックする仕組み

AdGuardがYouTubeの広告をブロックできるのは、動画が再生される前に読み込まれる広告用の通信を見つけ出し、それを遮断しているからです。

これにより、私たちは広告を見ることなく、本編の動画だけをスムーズに楽しむことができます。

YouTubeの広告には、動画の冒頭や途中で流れる動画広告や、画面の隅に表示されるバナー広告など、いくつかの種類があります。

AdGuardは、これらの広告がYouTubeのどのサーバーから送られてくるかを、フィルタというリストで把握しています。

私たちがYouTubeアプリを開いたり、動画を再生しようとしたりすると、アプリは動画データと広告データの両方を取得しようと通信します。

AdGuardは、その通信を常に監視しており、広告データ用の通信を検知すると、その通信だけを選択的にブロックします。

その結果、私たちのスマホには動画データだけが届き、広告は表示されない、という仕組みです。

この処理は全てスマホの内部で行われるため、閲覧履歴などが外部に漏れる心配はありません。

AdGuardのこの賢い仕組みのおかげで、私たちはYouTubeをストレスなく視聴できるわけですね。

人気の280blockerとの安全性比較

AdGuardと280blockerは、どちらも人気の広告ブロックアプリですが、機能や仕組みにいくつかの違いがあります。

安全性については、どちらも信頼性が高く、優劣をつけるのは難しいですが、特徴を理解して自分に合った方を選ぶのが良いでしょう。

まず、大きな違いは対応範囲です。

280blockerは、主にiPhoneのSafariブラウザでの広告ブロックに特化した、シンプルで分かりやすいアプリです。

設定も簡単で、国産アプリであることの安心感もあります。

一方、AdGuard(有料版)は、Safariだけでなく、YouTubeアプリや他の様々なアプリ内の広告までブロックできるのが最大の強みです。

また、WindowsやAndroidなど、iPhone以外のデバイスにも対応しているのが特徴です。

安全性という観点では、どちらもユーザーの通信内容を外部に送信するようなことはなく、プライバシーに配慮した設計になっています。

どちらを選ぶかは、何を重視するかによります。

  • 280blockerがおすすめな人:iPhoneユーザーで、主にSafariの広告だけを簡単にブロックしたい人。
  • AdGuardがおすすめな人:YouTubeアプリの広告を消したい人や、複数のデバイスで包括的に広告をブロックしたい人。

どちらのアプリも、その分野で高い評価を得ているので、自分の目的に合わせて選んでみてください。

AdGuardの危険性まとめ

  • AdGuardが使うVPNは外部サーバーを経由しない「ローカルVPN」のため、通信内容が抜き取られるリスクは極めて低いです。
  • 運営会社はロシアからEUのキプロスに移転しており、厳しいデータ保護規則(GDPR)の下で運営されています。
  • 個人情報が漏洩する可能性は低く、強力な広告ブロック機能がサイト表示に影響することが主なデメリットです。
  • 「使わないほうがいい」と言われるのは、設定の複雑さや仕組みへの誤解が主な理由です。
  • 無料版と有料版で安全性に違いはなく、ブロックできる広告の範囲が異なります。
  • 安全性を高めるには、Safariの機能拡張を有効にしたり、不要なフィルタをオフにしたりする初期設定が重要です。
  • 人気の280blockerとは得意な範囲が異なり、YouTubeなどアプリ内広告を消したいならAdGuardが適しています。
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