LibreOfficeは、公式サイトからダウンロードすればウイルス感染の危険性は極めて低いです。
しかし、Microsoft Officeとの互換性が低く、ファイルのレイアウトが崩れるという現実的なリスクが存在します。
過去には脆弱性も報告されており、安全に使うには正しい知識と設定が不可欠です。
この記事では、LibreOfficeに潜む危険性の正体と、それを回避して安心して使うための具体的な方法を解説します。
あなたの不安を解消し、LibreOfficeを正しく活用するための情報がここにあります。
LibreOfficeに潜む危険性とは?安全に使うための基礎知識
- LibreOfficeにウイルスが混入している可能性
- 過去に報告された脆弱性と現在の対応状況
- Microsoft Officeとの互換性の低さが招くレイアウト崩れ
- 「評判が悪い」と言われる具体的なデメリット
- 会社で使う場合に潜むコンプライアンス上の問題
LibreOfficeにウイルスが混入している可能性
LibreOfficeの公式ウェブサイトからダウンロードしたものであれば、ウイルスが混入している可能性は極めて低く、安全だと言えます。
危険なのは、公式サイトではない場所からダウンロードした場合です。
LibreOfficeは「オープンソースソフトウェア」といって、世界中の技術者がプログラムの中身をいつでもチェックできる仕組みになっています。
そのため、悪意のあるウイルスなどが仕込まれにくく、透明性が高いのが特徴です。
しかし、この人気と無料である点に付け込んで、公式サイトを装った偽サイトや、非公式のダウンロードサイトが存在するのも事実です。
そういった場所で配布されているファイルには、次のようなものが仕込まれている危険性があります。
- ウイルスやマルウェア:パソコンの情報を盗んだり、破壊したりする悪質なプログラム。
- アドウェア:意図しない広告を次々と表示させる迷惑なソフト。
- スパイウェア:あなたのキーボード入力や個人情報をこっそり外部に送信するソフト。
これらは、LibreOfficeのインストーラーと一緒に、気づかないうちにインストールされてしまいます。
「高速ダウンロード」や「最新日本語版」といった甘い言葉で誘うサイトには、特に注意が必要です。
ウイルス感染という危険性を避けるためには、必ず後述する「公式ダウンロードサイト」から入手することが、絶対のルールですよ。
過去に報告された脆弱性と現在の対応状況
LibreOfficeにも、過去にセキュリティ上の弱点(脆弱性)が発見されたことはありますが、現在は開発チームの迅速なアップデートによって修正されています。
「脆弱性」と聞くと少し怖いイメージがあるかもしれませんが、これはLibreOfficeに限った話ではありません。
Microsoft Officeを含め、世の中のあらゆるソフトウェアには、プログラムの設計ミスや不具合が後から見つかる可能性があります。
大切なのは、その弱点が見つかった時に、いかに早く修正パッチ(修正プログラム)が提供されるか、という点です。
その点で、LibreOfficeの開発コミュニティは非常に活発です。
世界中のボランティア開発者によって、脆弱性が発見されると迅速に情報が公開され、対策版のリリースが行われます。
例えば、過去には細工が施された特殊な文書ファイルを開くことで、攻撃者にパソコンを乗っ取られる可能性のある脆弱性も報告されました。
しかし、そうした脆弱性も、報告後すぐに新しいバージョンで修正されています。
つまり、LibreOffice自体の危険性が高いというよりは、「古いバージョンのまま使い続けること」に危険性があるのです。
これはどんなソフトでも同じことが言えますね。
常に最新の状態にアップデートしておくことで、既知の脆弱性からパソコンを守ることができます。
Microsoft Officeとの互換性の低さが招くレイアウト崩れ
LibreOfficeが持つ最も現実的な危険性は、ウイルスよりも「Microsoft Officeとの互換性の低さ」によるファイルのレイアウト崩れです。
LibreOfficeは、WordやExcel、PowerPointで作成されたファイルを開くことができます。
しかし、100%完璧に同じ見た目を再現できるわけではありません。
この「互換性の不完全さ」が、特に仕事でファイル共有する際に大きなトラブルの原因となります。
具体的には、以下のような現象がよく起こります。
【Wordファイル(Writerで開く場合)】
- 文字の改行位置や行間がズレて、ページ数が変わってしまう。
- 設定したはずのフォントが、別の見た目のフォントに置き換わる。
- 図形や表、画像の位置が大きくずれたり、表示されなかったりする。
【Excelファイル(Calcで開く場合)】
- 複雑な関数やマクロ(自動化機能)がエラーになったり、意図しない計算結果になったりする。
- グラフのデザインや色が全く違うものに変わる。
【PowerPointファイル(Impressで開く場合)】
- 設定したアニメーション効果が消えたり、違う動きになったりする。
- テキストや画像の位置関係が崩れて、デザインが台無しになる。
これらのレイアウト崩れは、相手に意図が正しく伝わらないだけでなく、ビジネスシーンでは「だらしない」という印象を与えかねない、非常に大きなリスクと言えるでしょう。
「評判が悪い」と言われる具体的なデメリット
LibreOfficeの評判が悪いと言われる場合、その理由は主に「互換性の問題」「動作の不安定さ」「サポート体制への不安」の3つが挙げられます。
無料であることは大きな魅力ですが、その分、有料のMicrosoft Officeと比べていくつかのデメリットがあるのは事実です。
- 互換性の問題(レイアウト崩れ)
前述の通り、これが最大のデメリットです。
自分一人で使う分には問題なくても、他人とファイルのやり取りをする際には、常にレイアウト崩れのリスクが付きまといます。 - 動作の不安定さ
特に、大量のデータや画像を含む大きなファイルを開いた時に、動作が重くなったり、突然ソフトが終了してしまう「フリーズ」が起きたりすることがあります。
Microsoft Officeに比べて、安定性の面でやや劣るという声は少なくありません。 - サポート体制への不安
Microsoft Officeであれば、困った時に電話やチャットで直接質問できる公式のサポート窓口があります。
一方、LibreOfficeにはそうした手厚いサポートはありません。
問題が発生した場合は、自分で公式サイトのQ&Aフォーラムを調べたり、コミュニティに質問したりして解決策を探す必要があります。
パソコン操作に慣れていない方にとっては、この点が一番のハードルになるかもしれません。 - 機能やフォントの違い
一部の高度な機能や、ビジネス文書でよく使われる「游ゴシック」のようなフォントが標準で入っていない点も、人によってはデメリットと感じるでしょう。
これらの点を理解した上で、自分の使い方に合っているかを判断することが大切です。
会社で使う場合に潜むコンプライアンス上の問題
会社のパソコンに個人の判断でLibreOfficeをインストールすることは、会社のセキュリティポリシーに違反し、重大なコンプライアンス問題に発展する危険性があります。
「無料だから大丈夫だろう」という安易な考えでインストールするのは絶対にやめましょう。
多くの企業では、情報システム部門などが許可したソフトウェア以外を業務用のパソコンにインストールすることを固く禁じています。
これには、ちゃんとした理由があります。
- セキュリティ管理の一元化: 会社全体でソフトウェアを統一することで、脆弱性の管理やアップデートを一括で行い、ウイルス感染などのリスクを低減しています。許可なくインストールされたソフトは、この管理の輪から外れてしまい、セキュリティホール(弱点)になり得ます。
- ライセンス管理の徹底: LibreOffice自体は無料でも、誤って商用利用が許可されていないフォントやテンプレートを一緒に使ってしまうと、意図せずライセンス違反を犯してしまう可能性があります。
- 業務効率の維持: 社内の標準ソフトがMicrosoft Officeの場合、LibreOfficeで作成したファイルは互換性の問題でレイアウトが崩れ、他の社員との共同作業に大きな支障をきたします。これにより、会社全体の生産性が低下する恐れもあるのです。
もし会社のPCでOfficeソフトが必要な場合は、まず上司や情報システム部門に相談してください。
自己判断でのインストールは、あなた個人の問題だけでなく、会社全体を危険にさらす行為になりかねません。
LibreOfficeの危険性を回避し、安心して活用する方法
- ウイルス感染を防ぐ唯一の公式ダウンロードサイト
- セキュリティレベルを高めるマクロ設定の見直し
- 脆弱性対策の基本となるアップデートの正しいやり方
- 無料で利用できるサポート体制(コミュニティ)の実態
- 安全にPCから削除するアンインストール手順
- それでも無料で使い続けられる理由とメリット
- 結局Microsoft Officeとどっちを選ぶべき?
ウイルス感染を防ぐ唯一の公式ダウンロードサイト
LibreOfficeを安全に入手する唯一の方法は、開発元である「The Document Foundation」が運営している公式のウェブサイトからダウンロードすることです。
インターネットで「LibreOffice」と検索すると、公式サイト以外にも様々なダウンロードサイトが表示されることがあります。
しかし、それらの非公式サイトにはウイルスが仕込まれている危険性が常につきまといます。
安全なファイルを手に入れるために、必ず以下の公式サイトにアクセスしてください。
- LibreOffice日本語公式サイト: https://ja.libreoffice.org/
このサイトにアクセスしたら、次の手順でダウンロードを進めます。
- トップページにある「ダウンロード」というメニューをクリックします。
- 最新バージョンが表示されます。基本的には、動作が安定している「安定版(Still)」と書かれている方を選ぶのがおすすめです。
- お使いのパソコンのOS(Windows 64-bit、macOSなど)を選択し、ダウンロードボタンをクリックします。
- ダウンロードが完了したら、そのファイルを実行してインストールを開始します。
この公式ルートを守るだけで、ウイルス感染のリスクはほぼゼロにすることができます。
公式サイトは広告などもなく、見た目もシンプルです。
逆に、派手な広告や「高速ダウンロード」といった言葉で誘導するサイトは危険信号だと覚えておきましょう。
セキュリティレベルを高めるマクロ設定の見直し
LibreOfficeのセキュリティを高める上で非常に重要なのが、ウイルスの侵入経路になりやすい「マクロ」のセキュリティレベルを正しく設定しておくことです。
マクロとは、一連の操作を記録して自動で実行できる便利な機能です。
しかし、この機能が悪用されると、ファイルを開いただけでウイルスに感染させるといった攻撃に使われることがあります。
LibreOfficeでは、このマクロの危険性をコントロールするために、セキュリティレベルを設定できます。
個人で利用する場合は、初期設定の「高」のままにしておくのがおすすめです。
【設定の確認・変更手順】
- LibreOfficeのいずれかのソフト(Writerなど)を起動します。
- メニューバーの「ツール」から「オプション」を選択します。
- 左側の一覧から「LibreOffice」の項目を選び、その中の「セキュリティ」をクリックします。
- 右側に表示された「マクロセキュリティ」というボタンを押します。
- 「セキュリティレベル」タブが開きます。ここで「高」または「最高」が選択されていることを確認してください。
- 高: 信頼できる発行元からのマクロのみ実行を許可します。信頼できないマクロは無効化されます。
- 最高: 信頼できるファイル場所にあるマクロのみ実行を許可します。より厳しい設定です。
もし、インターネットからダウンロードした出所のわからないファイルを開く際は、安易にマクロを有効化しないように注意することが、自分自身を守る上でとても大切ですよ。
脆弱性対策の基本となるアップデートの正しいやり方
LibreOfficeで見つかったセキュリティ上の弱点(脆弱性)からパソコンを守るためには、ソフトを常に最新の状態に保つ「アップデート」が最も簡単で効果的な方法です。
古いバージョンのソフトを使い続けることは、セキュリティホールを放置しているのと同じで、非常に危険です。
開発チームが提供する修正プログラムを適用するため、定期的にアップデートを行いましょう。
アップデートの確認方法は2つあります。
【手動で確認する方法】
- LibreOfficeを起動し、メニューバーの「ヘルプ」をクリックします。
- 「更新の確認」という項目を選択します。
- 新しいバージョンが利用可能な場合は、ダイアログが表示され、そこからダウンロードページに移動できます。
【自動で確認する方法】
毎回手動で確認するのが面倒な方は、自動チェック機能を有効にしておきましょう。
- 「ツール」→「オプション」と進みます。
- 左側のメニューで「LibreOffice」→「オンラインアップデート」を選択します。
- 「オンライン更新を自動的にチェックする」にチェックを入れます。
- チェックする頻度を「毎週」などに設定しておけば、更新があった時に通知してくれます。
新しいバージョンがリリースされたという通知が来たら、後回しにせず、できるだけ早くアップデートする習慣をつけることが、安全にLibreOfficeを使い続けるための基本です。
無料で利用できるサポート体制(コミュニティ)の実態
LibreOfficeには、Microsoftのような電話やチャットによる公式のサポート窓口はありませんが、その代わりに世界中のユーザーや開発者による無料の「コミュニティサポート」が利用できます。
困ったことが起きたら、基本的には自分で調べて解決するというスタイルになります。
主なサポートの場は以下の通りです。
- Ask LibreOffice(Q&Aサイト):
公式のQ&Aサイトで、過去にあったたくさんの質問と回答を検索できます。
あなたが抱えている問題と同じトラブルが、すでに解決済みで見つかることも多いです。
もし解決策が見つからなければ、新しく質問を投稿することもできます。 - ドキュメンテーション(公式マニュアル):
各ソフト(Writer, Calcなど)の詳しい使い方を解説した日本語のガイドブックが、PDF形式で無料で公開されています。
基本的な操作方法は、ほとんどこのマニュアルで解決できます。 - メーリングリストやフォーラム:
より専門的な内容について、開発者も参加する場で議論や質問ができます。
これらのコミュニティはボランティアで運営されているため、質問してもすぐに回答がもらえるとは限りません。
また、質問する際は、自分のパソコン環境(OSやLibreOfficeのバージョン)や、どんな操作をして問題が起きたかを具体的に書くといったマナーも必要になります。
手厚いサポートを期待するのではなく、ユーザー同士で助け合う場だと理解しておくと良いでしょう。
安全にPCから削除するアンインストール手順
もしLibreOfficeが不要になった場合、Windowsの標準機能である「アプリと機能」から、簡単かつ安全にパソコンから削除(アンインストール)することができます。
特別なアンインストール用のソフトなどを使う必要は全くありません。
ここでは、Windows 10や11での一般的な手順を紹介します。
- Windowsの「スタート」ボタンの上で右クリックし、表示されたメニューから「インストールされているアプリ」(または「アプリと機能」)を選択します。
- パソコンにインストールされているアプリの一覧が表示されます。
- 一覧の中から「LibreOffice」を探します。検索ボックスに「LibreOffice」と入力するとすぐに見つかりますよ。
- 見つけたら、その項目名の右側にある「…」のようなメニューボタンをクリックし、「アンインストール」を選択します。
- 「このアプリとその関連情報がアンインストールされます。」という確認メッセージが表示されるので、再度「アンインストール」をクリックします。
- LibreOfficeのアンインストールプログラムが起動し、削除が開始されます。処理が終わるまで少し待てば、作業は完了です。
この手順で削除すれば、パソコンに不要なファイルが残ったり、システムがおかしくなったりすることはありませんので、安心してくださいね。
それでも無料で使い続けられる理由とメリット
LibreOfficeには互換性などのデメリットがある一方で、それを上回る「完全無料」という圧倒的なメリットがあるため、多くの人に選ばれ続けています。
有料のMicrosoft Officeと比較した場合の、LibreOfficeの主なメリットを見てみましょう。
- 圧倒的なコストパフォーマンス:
最大のメリットは、何と言っても無料であることです。Microsoft Officeを購入すると数万円の費用がかかりますが、LibreOfficeなら初期費用も月額料金も一切かかりません。 - 十分すぎる基本機能:
個人が家庭で使うレポート作成や家計簿の管理、簡単なプレゼン資料の作成といった用途であれば、LibreOfficeの機能で困ることはほとんどありません。 - クロスプラットフォーム対応:
Windowsだけでなく、macOSやLinuxといった、様々なOS(オペレーティングシステム)で同じように使えるのも大きな魅力です。 - 広告表示がない:
フリーソフトにありがちな、画面上の広告表示が一切ありません。すっきりした画面で作業に集中できます。
これらの理由から、特に以下のような方にはLibreOfficeが非常におすすめです。
- とにかくコストをかけずにOfficeソフトを使いたい学生や個人の方
- ファイルの閲覧や、ちょっとした修正がメインの方
- Microsoft Officeを持っている人とファイルのやり取りをする機会がほとんどない方
結局Microsoft Officeとどっちを選ぶべき?
どちらのソフトを選ぶべきか迷ったら、「誰と、何のために使うか」を基準に考えるのが一番です。
結論として、仕事で他人とファイルを共有するなら「Microsoft Office」、個人利用でコストを最優先するなら「LibreOffice」が最適解と言えるでしょう。
それぞれの特徴を比較してみると、その理由がよく分かります。
| 項目 | LibreOffice | Microsoft Office |
|---|---|---|
| 料金 | 無料 | 有料(買い切りまたはサブスク) |
| 互換性 | △(レイアウト崩れのリスクあり) | ◎(ビジネスの標準) |
| サポート | △(コミュニティでの自己解決が基本) | ◎(公式の電話・チャットサポートあり) |
| 機能 | 〇(基本的な機能は十分) | ◎(高度な機能、クラウド連携に強い) |
この表から、それぞれのソフトが向いている人は以下のようになります。
【LibreOfficeがおすすめな人】
- 個人の趣味や学習で使う
- コストを0円に抑えたい
- ファイルのやり取りは自分自身で完結する
【Microsoft Officeがおすすめな人】
- 会社や学校など、組織で使う
- 他人とWordやExcelのファイルを頻繁に共有する
- レイアウト崩れなどのトラブルを絶対に避けたい
- 困った時に公式のサポートを受けたい
あなたの利用目的に合わせて、最適な方を選んでくださいね。
LibreOffice 危険性まとめ
- LibreOfficeのウイルス危険性は、公式サイト以外からのダウンロードに潜んでいます。
- 過去に脆弱性は報告されていますが、こまめなアップデートで対策可能です。
- 最大の危険性はMicrosoft Officeとの互換性の低さによるレイアウト崩れです。
- 評判が悪いと言われる原因は、互換性、動作の不安定さ、サポート体制にあります。
- 会社で使う際は、セキュリティポリシー違反などコンプライアンス上の問題に注意が必要です。
- 安全に使うには、公式サイトからのダウンロードとマクロ設定の見直しが基本です。
- 個人利用でコストを重視するならメリットは大きいですが、ビジネス利用ならMicrosoft Officeが推奨されます。