「+888」から始まる電話の正体は、高額な通話料を狙った国際ワン切り詐欺です。
この番号に折り返し電話をかけることは、非常に危険なので絶対にしてはいけません。
この記事では、「+888」の電話がなぜ危険なのか、その仕組みを詳しく解説します。
さらに、かかってきた際の最も安全な対処法である「無視」や「着信拒否」の方法も具体的にお伝えします。
正しい知識で、不審な国際電話による被害を防ぎましょう。
888の電話の正体と国際ワン切り詐欺の危険な仕組み
- 正体は国際衛星電話に割り当てられた特殊な国番号
- ワン切りで高額な通話料金を狙う国際的な詐欺の手口
- 楽天モバイルやソフトバンクを装う迷惑電話の可能性
- ヤマト運輸などのフリーダイヤル(0120)との明確な違い
- なぜ「+888」からの着信が危険視されるのか
正体は国際衛星電話に割り当てられた特殊な国番号
「+888」から始まる電話番号の正体は、特定の国からではなく「国際衛星電話」に割り当てられた特殊な番号なんです。
普段私たちが使っている国際電話は、「+1」ならアメリカ、「+82」なら韓国というように、必ずどこかの国や地域に紐付いています。
でも、この「+888」は、国際連合の専門機関である国際電気通信連合(ITU)によって、どの国にも属さないグローバルなサービスのために予約されている特別な番号なんですよ。
本来の目的は、こんな場面で使われることを想定しています。
- 災害時の緊急連絡
- 人道支援活動
- 地上の通信インフラがない地域との通信
つまり、一般の人が日常生活でこの番号から電話を受けることは、まず考えられないということです。
船舶や航空機、あるいは世界の僻地で活動しているような特殊な組織が使用する番号、と考えると分かりやすいかもしれません。
ですので、もしあなたのスマホに「+888」からの着信があったら、「どこの国だろう?」と考えるのではなく、「何か特殊な電話だ」と認識するのが正しいんですね。
ワン切りで高額な通話料金を狙う国際的な詐欺の手口
「+888」からかかってくる電話のほとんどは、高額な通話料金をだまし取ることを目的とした「国際ワン切り詐欺」の手口です。
この詐欺は、私たちの好奇心や「誰からの電話だろう?」という心理を巧みに利用しています。
犯人グループは、まずターゲットの電話番号にわざとワンコールだけ鳴らして、すぐに電話を切ります。
着信履歴に残った見慣れない番号を見て、つい気になってかけ直してしまうと、そこには高額な料金設定がされた特殊な電話回線に繋がるという仕組みです。
かけ直した先では、自動音声が流れたり、わざと無音の状態が続いたりして、少しでも長く通話させようとします。
その間にも、1分あたり数百円から、場合によっては数千円という法外な通話料金がどんどん加算されていくんです。
この通話料金の一部が、国際的な通信網を通じて、最終的に詐欺グループの収入になるというわけですね。
自分からかけた電話なので、一見すると詐欺だと気づきにくいのが、この手口の怖いところです。
「知らない番号にはかけ直さない」という基本的なルールを、特に「+888」のような番号に対しては徹底することがとても大切になります。
楽天モバイルやソフトバンクを装う迷惑電話の可能性
「+888」からの着信が、楽天モバイルやソフトバンクといった、私たちが普段利用している携帯キャリアの名前をかたってかかってくるケースが報告されています。
これは、私たちが「公式からの連絡かも」と信じてしまい、うっかり電話に出てしまったり、かけ直してしまったりすることを狙った非常に悪質な手口です。
例えば、自動音声で「楽天モバイルより、未納料金に関する重要なお知らせです」といったメッセージが流れることがあります。
しかし、ここで冷静に考えてみてください。
楽天モバイルやソフトバンク、ドコモ、auといった日本の大手キャリアが、顧客への重要な連絡のために「+888」のような国際衛星電話の番号を使うことは、絶対にありません。
料金に関する大切なお知らせであれば、通常は以下の方法で連絡が来ます。
- 公式アプリへの通知
- SMS(ショートメッセージ)
- 国内のフリーダイヤルや固定電話の番号からの発信
- 郵送による書面での通知
もし、知っている企業名からの着信だったとしても、発信元の番号が「+888」で始まっていたら、それは100%詐欺や迷惑電話だと判断して大丈夫です。
安心して、応答せずに無視してくださいね。
ヤマト運輸などのフリーダイヤル(0120)との明確な違い
「888」という数字の並びを見て、「ヤマト運輸のフリーダイヤルかな?」と勘違いしてしまうことがありますが、これらは全くの別物なので注意が必要です。
確かに、ヤマト運輸をはじめ、多くの企業がお客様窓口として「0120」から始まるフリーダイヤルで、末尾に「888」を含む番号を使っています。
しかし、重要なのは最初の番号です。
「+888」と「0120」では、その性質が天と地ほども違います。
下の表で違いを比べてみましょう。
| 項目 | +888から始まる電話 | 0120から始まる電話 |
|---|---|---|
| 種類 | 国際衛星電話 | フリーダイヤル(国内サービス) |
| 通話料金 | かけると高額な料金が発生 | かけても料金は無料 |
| 主な用途 | 詐欺・迷惑電話がほとんど | 企業の問い合わせ窓口など |
| 発信元 | 海外の特殊な回線 | 日本国内 |
このように、フリーダイヤルは私たちが無料で企業に連絡するための便利なサービスです。
一方で、「+888」は、かけ直すと高額な請求が発生する危険な番号です。
着信履歴を見たときは、数字の並びだけでなく、必ず先頭についている記号や番号をしっかり確認する癖をつけましょう。
「+」がついていたら、それは国際電話の合図ですよ。
なぜ「+888」からの着信が危険視されるのか
「+888」からの着信がこれほどまでに危険だと言われる理由は、主に「高額な金銭的被害」と「さらなる詐欺被害の拡大」という2つの大きなリスクがあるからです。
まず、一番直接的な危険は、やはり高額な通話料金を請求されるリスクです。
すでにお話しした通り、ワン切り詐欺に引っかかって折り返し電話をしてしまうと、たった数分話しただけで、数千円から数万円という、ありえないほどの高額な料金を後から請求される可能性があります。
そして、もう一つの見過ごせない危険が、あなたの電話番号が「生きている」と詐欺グループに知られてしまうことです。
もし電話に出てしまったり、かけ直してしまったりすると、犯人グループのリスト上で、あなたの番号は「反応がある番号」として登録されてしまいます。
そうなると、どうなるでしょうか。
- 今後、別の番号からさらに多くの迷惑電話がかかってくるようになる
- 詐欺的な内容のSMS(ショートメッセージ)が頻繁に届くようになる
- あなたの電話番号が、他の詐欺グループに売買されてしまう
このように、一度反応してしまったがために、さらなる犯罪に巻き込まれる入り口になってしまう危険性があるんです。
金銭的な被害だけでなく、将来の平穏な生活を守るためにも、「+888」からの着信は絶対に関わってはいけない相手だと覚えておきましょう。
888の電話がかかってきたときに絶対やるべき対処法
- 【基本の対策】最も安全なのは「徹底して無視」すること
- 【NG行動】絶対にやってはいけない「折り返し電話」のリスク
- 【万が一の時】もし電話に出てしまった場合の冷静な対応
- 【今後の予防】着信履歴からの着信拒否・ブロック設定の方法
- 【SMSの場合】ショートメッセージで届いた時の注意点
- 【事後の確認】高額請求を避けるための確認方法と相談窓口
【基本の対策】最も安全なのは「徹底して無視」すること
「+888」から始まる電話がかかってきたときに、最も安全で確実な対処法は、何もせず「完全に無視する」ことです。
「誰からの電話だろう?」と不安になったり、気になったりする気持ちはよく分かります。
でも、この番号からの着信に応答したり、かけ直したりすることは、詐欺に巻き込まれるリスクしかありません。
そもそも、この番号は国際衛星電話という特殊なもので、あなたの友人や知人、あるいは日本の企業が使っている可能性はゼロに等しいです。
ですので、あなたが電話に出る必要も、かけ直す義務も全くありません。
- 電話に出ない
- かけ直さない
- 留守番電話のメッセージも聞かない(そもそもメッセージが残ることは稀です)
この「何もしない」という選択が、あなたの金銭や個人情報を守るための最強の盾になります。
もし着信に気づいたら、「あ、例の迷惑電話だな」くらいに考えて、着信履歴から削除するだけでも十分です。
不安に思う必要は全くないので、落ち着いてスルーしてくださいね。
【NG行動】絶対にやってはいけない「折り返し電話」のリスク
「+888」からの着信履歴に対して、絶対にやってはいけない行動が「折り返し電話」をすることです。
これは、詐欺師たちが仕掛けた罠に、自分から飛び込んでいくようなものです。
なぜなら、彼らの目的そのものが、あなたに電話をかけ直させて、高額な国際通話料金を発生させることにあるからです。
もし好奇心に負けてかけ直してしまうと、以下のような事態が待っています。
高額な通話料金の発生
この番号に発信すると、1分あたり数百円から数千円という、信じられないほど高額な通話料金が課金される特殊な回線に繋がります。
無音だったり、自動音声が流れたりして、相手は巧みに通話時間を引き延ばそうとします。
気づいた時には、携帯電話の請求額がとんでもないことになっているかもしれません。
個人情報の流出リスク
あなたが電話をかけ直すことで、詐欺グループは「この電話番号は現在使われていて、持ち主は反応する」という情報を得ます。
この情報は「カモリスト」として他の詐欺グループに売買される可能性があり、今後さらに多くの迷惑電話や詐欺SMSが届く原因になってしまいます。
着信履歴に残った見慣れない番号は、ただの「記録」として見るだけにとどめ、絶対に発信ボタンを押さないように強く意識してください。
【万が一の時】もし電話に出てしまった場合の冷静な対応
もし、うっかり「+888」からの電話に出てしまったとしても、慌てる必要はありません。一番大切なのは、すぐに電話を切ることです。
電話に出てしまったからといって、即座に高額な料金が発生したり、ウイルスに感染したりするわけではありません。
被害を最小限に抑えるために、以下のことを冷静に行ってください。
とにかくすぐに通話を終了する
相手が何か話す前でも、無言でも、とにかくすぐに赤い「通話終了」ボタンを押しましょう。
「もしもし」と応答する必要もありません。通話時間が長くなるほど、リスクは高まります。
何も話さず、何も答えない
相手が何か質問してきても、絶対に答えてはいけません。
特に、自分の名前や住所、家族構成などの個人情報は絶対に口にしないでください。
自動音声が流れて、番号を押すように指示されても、それに従う必要はありません。
不安ならキャリアに確認
基本的には着信に応答しただけでは高額な料金は発生しにくいですが、万が一ということもあります。
もし心配であれば、後日、ご自身の契約している携帯キャリア(ドコモ、au、ソフトバンクなど)のマイページで通話明細を確認したり、カスタマーサポートに問い合わせてみたりすると安心できますよ。
パニックにならず、「即切断」。これを覚えておけば大丈夫です。
【今後の予防】着信履歴からの着信拒否・ブロック設定の方法
同じ番号から何度もかかってくる迷惑電話を防ぐためには、着信があった番号を「着信拒否(ブロック)」に設定しておくのがとても効果的です。
一度設定してしまえば、その番号から電話やメッセージが届くことはなくなり、通知もされなくなります。
うっかり電話に出てしまうミスを防ぐことにも繋がるので、ぜひ設定しておきましょう。
iPhoneとAndroidスマートフォンでの基本的な設定方法をご紹介します。
iPhoneでの設定方法
- 標準の「電話」アプリを開き、下部の「履歴」をタップします。
- ブロックしたい「+888」の電話番号の右側にある、丸い「i(インフォメーション)」マークをタップします。
- 画面を一番下までスクロールし、赤い文字の「この発信者を着信拒否」を選択します。
- 確認画面で「連絡先を着信拒否」をタップすれば完了です。
Androidでの設定方法
※お使いの機種やOSのバージョンによって、表示が少し異なる場合があります。
- 標準の「電話」アプリを開き、「通話履歴」のタブを選択します。
- ブロックしたい「+888」の電話番号をタップするか、長押しします。
- 表示されたメニューの中から「ブロック」や「迷惑電話として報告」、「着信拒否」といった項目を選んでタップすれば完了です。
この簡単な一手間で、今後の安心感がぐっと増しますよ。
【SMSの場合】ショートメッセージで届いた時の注意点
「+888」から始まる番号は、電話だけでなくSMS(ショートメッセージ)で届くこともあります。
この場合も、電話と同じく絶対に無視してください。
SMSを使った詐欺は「フィッシング詐欺」と呼ばれ、メッセージに記載されたURLをクリックさせることを目的としています。
もし、メッセージに書かれているURLを安易にクリックしてしまうと、次のような危険があります。
- 偽サイトへの誘導:
宅配業者や金融機関、ショッピングサイトなどを装った偽のウェブサイトに飛ばされ、ID、パスワード、クレジットカード情報などを入力させられ、盗まれてしまいます。 - 不正なアプリのインストール:
「セキュリティ警告」などと称して、スマートフォンを遠隔操作したり、個人情報を抜き取ったりする悪質なアプリをインストールさせられる危険性があります。
よくある手口としては、以下のような文面で送られてきます。
「お荷物のお届けにあがりましたが、不在の為持ち帰りました。下記よりご確認ください。」
「有料動画の未納料金が発生しております。本日中にご連絡なき場合、法的手続きに移行します。」
このようなメッセージが届いても、URLは絶対にタップせず、返信もせずに、メッセージごと削除するのが一番安全な対処法です。
【事後の確認】高額請求を避けるための確認方法と相談窓口
もし、不安に駆られて「+888」からの電話に折り返してしまった場合は、落ち着いて状況を確認し、専門の窓口に相談することが大切です。
高額な請求が来るのではないかと、一人で悩み続ける必要はありません。
まずは、ご自身でできる確認と、頼りになる相談窓口を知っておきましょう。
自分で通話料金を確認する方法
まずは、実際に高額な通話料金が発生しているかを確認します。
- キャリアのオンラインサービスを利用する:
My docomo、My au、My SoftBankといった各携帯キャリアの会員向けサイトにログインし、「通話明細」や「ご利用料金」の項目を確認します。
確定前の料金速報で、不審な国際通話料金が加算されていないかチェックしましょう。 - カスタマーサポートに問い合わせる:
オンラインでの確認が難しい場合は、各キャリアのカスタマーサポートに直接電話して、事情を説明し、高額な国際通話料金が発生していないかを確認してもらうのが確実です。
困った時の公的な相談窓口
もし、実際に高額な請求をされてしまった場合や、どうしていいか分からず不安な時は、以下の専門機関に相談してください。
- 消費生活センター:
商品やサービスのトラブル全般について相談に乗ってくれます。
局番なしの「188(いやや!)」に電話すると、最寄りの窓口を案内してくれます。 - 警察相談専用電話:
犯罪にあたるかどうか分からないけれど、ストーカーや悪質商法などで困っている場合に相談できる窓口です。
局番なしの「#9110」に電話します。
早めに相談することで、被害の拡大を防ぎ、適切なアドバイスをもらうことができますよ。
888の電話まとめ
- 「+888」から始まる電話の正体は、詐欺目的で使われる国際衛星電話です。
- 手口はワン切りで折り返しを誘い、高額な国際通話料金を請求するものです。
- 楽天モバイルやヤマト運輸を名乗る場合もありますが、全て迷惑電話なので注意してください。
- 不審な電話がかかってきた際の最も安全な対処法は、応答せずに完全に無視することです。
- 高額請求のリスクがあるため、着信履歴があっても絶対に折り返し電話をしてはいけません。
- もし電話に出てしまった場合は、何も話さずにすぐに通話を切りましょう。
- 今後の予防策として、かかってきた番号を着信拒否・ブロック設定するのが効果的です。